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河内長野市議会

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決議案第3号

印刷ページ表示 更新日:2018年10月11日更新
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こころの健康を守り推進する基本法の制定を求める意見書

 心身の健康は一人ひとりの国民の基本的な権利であり、社会の活力と発展の基盤をなすものである。しかし、現在の我が国は年間自殺者が3万人にも上り、320万人を超える方々、つまり国民の40人に1人以上が精神疾患のために医療機関を受診しているという数字に代表されるように、「国民のこころの健康危機」といえる状況にある。ひきこもり・虐待・路上生活など多くの社会問題の背景にも、こころの健康に問題があるといえる。
 大阪府でも、平成22年度には119,187人が医療機関を受診している。
平成23年7月6日、厚生労働省は、これまで「4大疾病」と位置づけて重点的に対策に取り組んできた「がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病」に、精神疾患を加えて、「5大疾病」とする方針を決めた。
 福祉分野においては、平成18年から三障害を一緒に支援する法律が作られたが、サービスの基盤体制の構築は立ち後れている。
 また、医療においても、他の診療科とは大きな違いがあり、一般病床や感染症病床などは患者16人に対し医師は1人以上であるが、精神科病床では患者48人に対し医師1人になっている。看護師の配置も一般の医療水準よりも低く設定されており、慢性的な人手不足の状態である。
 平成22年4月から、家庭・当事者、医療・福祉の専門家及び学識経験者が集まり、「こころの健康政策構想会議」を設立し、家族・当事者のニーズに応えることを主軸に据えて会議を重ね、現実の危機を早期に根本的に改革する提言をまとめ、平成22年5月末に厚生労働大臣に「こころの健康政策についての提言書」を提出した。
 この中で、1.精神医療改革、2.精神保険改革、3.家族支援の三つを軸として、国民全てを対象とした、こころの健康についての総合的・長期的な政策を保障する「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を強く求めている。
 世界保健機関(WHO)は、病気が命を奪い生活を障害する程度を表す総合指標(障害調整生命年〈DALY〉:disability adjusted life years)を開発し、政策における優先度を表す指標として提唱しているが、この世界標準の指標により、先進国において命と生活に最も影響するのは精神疾患であることが明らかになった。
 精神疾患は、それに続くがんと循環器疾患と合わせて三大疾患の一つといえる(WHOの「命と生活障害の総合指標」による)。
 欧米ではこの指標に基づいて国民の健康についての施策が進められているが、日本ではそうした重要度に相応しい施策がとられてきていない。
 こころの健康危機を克服し、安心して生活ができる社会、発展の活力ある社会を実現するためには、こころの健康を国の重要施策と位置づけ、総合的で長期的な施策を実行することが必要である。
 よって、その重要性にふさわしく、すべての国民を対象とした、こころの健康についての総合的で長期的な政策を保障する「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年6月13日

河内長野市議会