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大学連携講座―高野山大学編―「密教の思想と芸術」 曼荼羅の仏たち

印刷ページ表示 更新日:2017年11月2日更新
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「曼荼羅の仏たち」-海のシルクロード-

 くろまろ塾運営ボランティア スタッフ2017年11月04日 09時00分  くろまろ塾くろまろ塾運営ボランティア

題字松長恵史先生
皆さん、こんにちは!木々が少しづつ色づいてきましたね。
くろまろ塾運営ボランティア広報担当の西岡です。
11月2日(木曜日)、大学連携講座―高野山大学編「密教の思想と芸術」の講座に参加してきました!今日のテーマは「曼荼羅の仏たち」(講師:松長恵史先生、高野山大学文学部准教授)です。今回も高い人気のため、イベントホールでの講座開催となりました。

■曼荼羅の仏たち
今回の講座は、前回の「曼荼羅の基礎知識」の続編として、同じく松長先生からお話を伺いました。前回は、弘法大師空海により密教の大切な法具として、中国から日本に伝えられた「胎蔵曼荼羅」や「金剛界曼荼羅」とはいかなるものなのか、それは「密教の悟り(真理)の世界」を仏像や法具や梵字などで表わされたものであることを学びました。

会場の様子
今回はその中に描かれている仏たち、如来、菩薩、明王、天といった多種多様の仏たちの特徴や働きについて細かく学びました。聞いたことはあるけど、知っているようで知らない事がたくさんありました。例えば観音さまは、女性だろうと思っていましたが、インドでは男性名詞とされている事。また、毘沙門天や大黒天など「・・・・天」と呼ばれる仏さまは、仏教に取り入れられたヒンドゥー教の神様だと言うことでした。また、印の結び方にも色々決まりがあることを学びました。

■密教って何?
密教は、仏教の発展形として七世紀後半にインドで成立した教えで、一般の人には理解できない方法で「聖なる世界」を示す秘密の教えです。密教を信仰する真言宗では、『理趣経』が毎日読誦されます。その正式名は『大楽金剛不空真実三昧耶経』と呼ばれます。この「大楽」こそがキーワードです。「大楽」は決して、大いに楽しむではありません。「大」は「かけがえのない、他と比べるものがない」の意味です。現代の科学文明は、ものを比べて劣っているものを切り捨てることにより進歩してきました。最近はそのことを見直す機運がすこしずつ増えてきているようですが、密教では皆さん一人一人のなかに仏が存在すると考えるのです。自分自身で見つけられると良いのですが…。(^-^;

■海のシルクロードとは?

海のシルクロード
国を超えて世界遺産に登録されている陸の交易ルートであるシルクロード、これに対し「バングラデシュ→マラッカ海峡→インドネシア→インドシナ→中国→日本」と続く海のシルクロードを通じて、陸路と同じように様々な物品や文化・芸術が伝えられて来ました。密教もその経路で伝わってきた形跡が色濃く残されていることが、松長先生の最新の研究で明らかになりつつあります。
ジャワ島にある世界最大級の寺院であるボロブドゥール遺跡は、正に巨大な立体的な曼荼羅を形作っていることを、仏像の形態や印の結び方から解ることを紹介いただきました。中国陜西省法門寺の宝函遺品やバリ島の密教についてもご紹介いただきました。インドでは消えてしまった密教の足跡が広く残されていることに改めて驚かされました。

最後に、昨日、高野山では気温が零下までさがり、今週末は紅葉の見ごろになりそうとのことでした。先生から電車は先の台風以降止まっていますが、ぜひ高野山にお運びくださいとのことでした。(^_-)-☆

■以下に参加者の受講後の感想をご紹介します。
・大変難しい演題でしたが、解りたいと云う願望が大きくなりました。
・曼荼羅の仏の他に先生の研究の貴重な資料、お話しを聞かせていただき有難うございました。
・前回、今回とも本来大変な難解な内容にも関わらず、とてもわかりやすく楽しく伝えてくださり楽しかったです。
・立体の曼荼羅の存在、インドネシアのヒンドゥー教は仏教に近いというのはサプライズだった。
・海のシルクロードの密教をはじめて知った。バリ島を旅し、教わった事を体得してみたいです。
・50才で国立大学文学部に入り仏教学を学ぼうと思ったのですが、実際にはサンスクリットとチベット語の学習に明け暮れ結局理解せずに終わりました。松長先生に学べるなら高野山大学にも行きたいと思います。