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大学連携講座―桃山学院大学編― <ヨーロッパ>景気停滞とナショナリズム高揚の危機

印刷ページ表示 更新日:2019年6月27日更新
<外部リンク>

大学連携講座-桃山学院大学編-を受講しました。
くろまろ塾運営ボランティア スタッフ2019年07月05日 20時|くろまろ塾くろまろ塾運営ボランティア

チラシの写真

こんにちは!くろまろ塾運営ボランティアの村上です。
「大学連携講座-桃山学院大学編-現在の世界経済と日本(全5回)」を受講しました。

その第1回、「<ヨーロッパ>「景気停滞とナショナリズム高揚の危機」の報告です。
開催日時:2019年6月27日14時から15時30分  開催場所:キックス・大会議室

 

令和時代最初の台風来襲!?の中、受講者40名は熱心に講座に耳を傾けました。

中野先生の写真
中野先生

講師;桃山学院大学経済学部・学部長「中野 瑞彦」教授。
中野先生は、「銀行論」、「国際金融論」を専攻、「銀行業務の多角化と金融システム安定化のための課題」等を研究され、『Financial Crisis and Bank Management In Japan 2000-2016』等、この方面の著書、論文等を多数発表されています。

会場の様子

平成の時代、「日本経済はバブル経済の絶頂から低成長時代へと大きく変貌」しました。しかし、このことは日本に限ったことではなく、世界的な現象です。近年、グローバル経済から保護主義経済に逆戻りしそうな様子も見せ始めています。
今回の講座は正にこのような時代に即したなかなか興味深い講座でした。

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世界経済の喫緊の課題は英国のE U離脱問題です。
講座ではこの課題の波及する事をかなり詳しく説明して頂きました。
本ブログではその中で下記に絞って報告させて頂きます。

1.世界に溢れている780万人の難民はどこへ行くのか?
2.ヨーロッパどうなるのか?
3.日本にどう影響するのか?

1.それでは、ヨーロッパを中心に各国が受け入れている移民から話しを進めます。

主だったヨーロッパ諸国は国民総人口の10%以上の移民を受け入れています。
Eu加盟国全体で5,885万人にもなります。なお、日本はわずかに238万人です。

各国別移民人口の表

アフリカ、中東地域の難民の流れは、トルコ、イタリア経由→ヨーロッパが主な流れです。

難民は経済的に豊かな国への移民を希望します。その理由は、仕事があるからです。
その結果、難民を受け入れている国の失業率は高くなります。次表を参照。
そして、若者をも巻き込んだ「移民受け入れ反対運動」が起こるのです。
過度の反対運動となれば、社会不安にまで繋がるでしょう。
英国のE U離脱はこの運動を助長することになるでしょう。

国別失業率の表

 

2.それでは、「ヨーロッパはどうなって行く」でしょうか?

やはり、イギリスのE U離脱の成り行きが大きく影響するでしょう。
ヨーロッパは第2次大戦後、チャーチルが打ち出した「欧州合衆国構想」に端を発して、1967年の「欧州共同体(E C)」が発足、1993年にはマーストリヒト条約発効により、「欧州連合(E U)」と繋がりました。
しかし、現Euは「経済政策の一元化」を求めませんでした。そのため、各国間の経済格差が助長され、各国間に不満が生まれることになりました。

そして、近年、各国にナショナリズムを強調する政治集団も生まれ始めました。
その一つが、英国のE U離脱に関わる政治問題です。

ナショナリズム高揚

ヨーロッパの大方の国は、現在のE U体制維持に努めるであろうが、その一方、自国のナショナリズムの高揚とも向き合わねばならないでしょう。

 

3.最後の項目です。それでは、「日本に、どう影響する」でしょうか?

・日本の貿易相手地域の比率は下記の通りです。
総輸出82兆円に占める各地域の割合:アジア;55% 北米;20% 西欧;12%
総輸入83兆円に占める各地域の割合:アジア;47% 中東;13% 西欧;13%
モノの貿易収支は、日本の赤字1.0兆円です。
日本の対西欧の主な相手国は、ドイツ、イタリアです。
その主な貿易品は自動車・医薬品・バッグ類です。

・現在の日本から西欧への直接投資は対アメリカの約70%です。
・貿易相手国の上位3国;英国・オランダ・オーストリアです。
・今後、本社、生産拠点を英国から他のヨーロッパ国に移す企業が出てくるでしょう。
・その理由は、企業としてEu内に残る事を選択するからです。
・Euの混乱により、日本のヨーロッパに対する直接投資が後退する可能性もあります。

・現在、西欧を経由するマネー(オイル・ダラーなど)の動きは活発ですが、英国ロンドン・シティからパリないしフランクフルトの市場に移動する可能性があります。
・そして、E Uの混乱がユーロの不安定化にまで繋がれば、世界経済全体は間違いなく混乱する恐れがあります。

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以上が講座の概要です。
現在の世界経済の拠点(アメリカ、中国、日本、ヨーロッパ)の一つでもぐらぐらとすると、世界経済に種々の大混乱を与えるでしょう。
それを避けるためにも「G20」のような世界会議が重要なのであろう。

受付、司会を担当して頂いたくろまろ塾運営ボランティアの皆さま、お疲れさまでした。

受付の様子司会

以上