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「身近な環境問題について考える」~Sos!絶滅心配種の生物を守る~を受講しました!

印刷ページ表示 更新日:2019年9月17日更新
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「身近な環境問題について考える」~Sos!絶滅心配種の生物を守る~を受講しました!

みなさま、こんにちは!
くろまろ塾運営ボランティアの後藤です。よろしくお願いします。

大学連携講座 近畿大学編「身近な環境問題について考える」
~Sos!絶滅心配種の生物を守る~
「第6の大量絶滅時代、身近な魚たちにもせまる危機!~正しく知って、正しく守るには~」をレポートさせていただきます。

講師の北川忠生先生は、近畿大学農学部環境管理学科でメダカやドジョウ、タナゴなどの在来の淡水魚の調査研究と保護活動に取り組んでおられます。
今回は、奇跡的に生き残った奈良のニッポンバラタナゴ「ペタキン」のお話を中心に、メダカの間違った保護活動のことなども教えていただきました。
「ペタキン」愛あふれる先生のお話を聞くうちに、「何とか生き残ってほしい。がんばれペタキン!」と、応援する気持ちが湧いてきたのが不思議です。

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現在の地球上の生命は、現在に至る進化の過程において5回にわたる環境激変による種の大量絶滅を経験してきたそうです。
講座の後で図書館の出前貸出で、『次の大量絶滅を人類はどう超えるか 離散し、適応し、記憶せよ』(アナリー・ニューイッツ著 熊井ひろ美訳 発行インターシフト)という本を借りました。
過去5回の大量絶滅のことを知らなければと思って読んだのですが、思いがけずスケールの大きいSfのようなところもある興味深い本でした。お勧めできる一冊です。ネアンデルタール人の絶滅に関する新説には心が痛く、揺らぎました。・・・余談ですが。

現在、私たち人間の活動が自然界にさまざまな影響をあたえて、第6回目の大量絶滅の時代をむかえているそうです。
飛べない鳥ドードーは人間がモーリシャスに上陸して数年の間に滅びました。フクロオオカミは家畜を襲うとされ、最後の一匹までゴミとして捨てられました。ピンタゾウガメは最後のオス「ロンサム・ジョージ」が死亡して2012年絶滅しました。

日本でも、ニホンオオカミ、二ホンカワウソ等が絶滅し、イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ等が絶滅しかかっています。
今まで身近にいた多くの生き物たちもその姿を消しつつあります。
現在進行形で絶滅は続いているのです。

そんな中で、身近なところでは奈良県に生息する魚類87種のうち外来魚が29種に及び、ブラックバス(オオクチバス)、ブルーギル、タイリクバラタナゴなどの侵入で在来種の50%が絶滅の危機に瀕しているそうです。誰でも知っているメダカですが、奈良のメダカ(ミナミメダカ)は絶滅心配種に指定されるくらい少なくなっています。

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さて、ニッポンバラタナゴですが、奈良では「フナのようにペタっとした金魚」という意味で「ペタキン」と呼ばれているそうです。
日本にだけ棲む淡水魚で、元々は西日本に広くいたものが、きれいな魚なので観賞用に乱獲され、生育環境の悪化、外来種の侵入で、環境省レッドリストでは絶滅心配Ia類(放っておくと10年で絶滅するランクだそうです)、奈良県版レッドリストでは野生絶滅種に指定されています。

2005年奈良公園の1つの池で絶滅寸前のペタキンが見つかりましたが、世界遺産「古都奈良の文化財」は生物多様性のタイムカプセルとして機能していたようで、奇跡的に生き残っていたそうです。
その後、池の水を抜いて調査し、ヘドロを除去し水質改善をし、2008年には数が増えましたが、あとは減る一方で2013年には池に戻さずに管理下におくことになったそうです。

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ペタキンのことを教えていただきました。
まず、オスは産卵期になると婚姻色を出すことと、メスはお尻から産卵管を伸ばして貝に産卵することです。
産卵は、ドブガイの出水孔へメスが長く伸びた産卵管を入れて産卵し、その直後にオスが放精し、精子は入水孔から入っていき、貝のえらで受精するのだそうです。

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ドブガイに托卵されたペタキンの卵は、えらの中で循環する新鮮な水で成長し、稚魚になると出水孔から吐き出されるそうです。
さらに、ドブガイは幼生の時にヨシノボリという魚の尾びれに寄生するそうで、ペタキンが生きていくにはドブガイが要り、ドブガイが生きていくにはヨシノボリが要るという生物のつながりには驚きました。

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ドブガイが生きていくための産卵場所がヘドロで汚染され、貝はそこから動けないので減少していることが調査で分かり、ヘドロ除去の費用がないので、バケツリレーで頑張っておられるそうです。

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2012年ついに奈良公園の池からペタキンが消えました。
2013年池には戻さずに管理下に置き、近畿大学の池で育てて系統保存することになりました。
北川先生は、「絶滅心配種の保護は、bestでなくてもbetterな方法で手を尽くすべき」とおっしゃって、奈良県に本来の生息していた状態を取り戻すための「ペタキン里親プロジェクト」、子供たちへの環境教育「ペタキン学校里親プロジェクト」、企業やNPOとの提携など、ペタキンの保全・保存・社会啓発活動に全力でがんばっておられます。

追記
ペタキンの事はこれまで見たことも聞いたこともないと思っていました。
ところが、何と講座の3日前に気付かないでペタキンに出会っていたのです!
「Japan Color」をテーマに、色という切り口で日本の自然と文化の関わりを紐解いた展覧会が花洛庵という京町屋であり、入口の水槽に「タナゴ亜科魚類の婚姻色」として、ニッポンバラタナゴなど4種類の魚が展示されていたのです。
このことは、講座の後で写真を見直して気がついたのですが、きちんと見ないで残念なことをしました。
説明書きによると、ニッポンバラタナゴの「バラ」は「薔薇」で、英名「Rosy」の由来だそうです。
次は薔薇色のペタキンに何処かで出会えたらいいなと思います。

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今回もくろまろ塾ボランティアが司会や受付に活躍してくれました。お疲れ様でした。

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