職員採用 能登半島地震 モックルMaaS ご遺族サポート窓口が予約制に ふるさと納税 内部統制
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令和7年度の当初予算案の説明に先立ち、今後の市政運営について、私の所信の一端を申し上げ、議員の皆さま並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
まず、国内の経済状況は緩やかに景気が回復しており、先行きについても、雇用・所得環境が改善する見込みです。また、各種政策の効果もあり、引き続き回復することが期待されています。
一方で、海外景気の下振れや物価の上昇に加え、アメリカの政策動向や中東地域をめぐる情勢など、景気を下押しするリスクもはらんでおり、引き続き注視していく必要があると考えております。
また、人口減少は2030年代に加速する見通しです。少子高齢化・人口減少の真っ只中にありますが、そのような中、政府は「国民が豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会の実現」を、中長期のミッションとして掲げています。
このミッションを達成するため、「誰もが活躍できるウェルビーイングが高い社会の実現」や「地域ごとの特性・成長資源を活かした持続可能な地域社会の形成」など、新たなステージを目指すための5つのビジョンを設定しました。
成果にコミットするための大規模な機構改革
本市においても、「消滅可能性自治体からの脱却」を最大のミッションとし、その実現に向け、成果にコミットするための大規模な機構改革を行います。本市では初めて局制を導入し、新たに設置する「4つの局」のもと、「攻め」と「守り」を明確にし、ミッションのコンプリートを目指します。
一つ目の「総務経営局」では、市民に寄り添いながら、「ヒト」「モノ」「カネ」「データ」を資源とし、そのポテンシャルを活用し、適正で安定した持続可能な行政経営の土台を構築するとともに、組織の本質的な改善を目指します。
二つ目の「都市環境安全局」では、「守りの要」として「備える力」をさらに高め、市民の安全・安心の確保に努めます。加えて、本市固有の自然資本の活用と「再価値化」を図り、持続可能で魅力ある都市を形成してまいります。
三つ目の「成長戦略局」では、多様な社会ニーズを捉えつつ、課題解決と成長の両輪を担います。そして、明確な成長戦略に基づき、「都市力」の向上を図るとともに、民間公募で選ばれた営業部長を中心に、市の「価値を売り込む力」と「稼ぐ力」を強化し、市民が変化を実感できるまちづくりに取り組みます。
四つ目の「こどもの未来とウェルビーイング推進局」では、「こどもど真ん中」という考えと次世代への投資を意識し、施策の中心に据え、すべての子どもの育ちを後押しします。また、一人ひとりの市民みなさんのウェルビーイングを高めてまいります。
教育委員会における取り組みといたしましては、ESDの観点に立った学校教育を進めるとともに、「個」が活きる多様で高水準な学習環境の実現を目指します。また、子どもの生きる力を伸ばすため、主体性と探求能力、当事者意識を育み、自己肯定感が高まる学びの環境を整えます。加えて、すべての市民が社会教育を受ける機会を提供します。
なお、各局には、組織としての新たな使命「ミッション」と将来のあるべき姿「ビジョン」、それを実現するための具体的な行動指針と基準「バリュー」を設定します。
また、長引く物価高騰の影響により、依然として厳しい生活状況が続いておりますが、引き続き、市民の皆さまが安心して暮らせるまちづくりに取り組みます。
未来思考型・攻守メリハリ予算
令和7年度の当初予算について、歳入面では、物価や賃金上昇を踏まえ、個人市民税及び地方消費税交付金などの増収を見込むものの、歳出面において、引き続き高齢化の進展に伴う社会保障関係費の増加、また、物価高騰に伴う経費の増加が見込まれ、厳しい財政環境下での予算編成となりました。
このような状況の下、今後も持続可能な行政経営を行うため、「包括予算制度」において各部局の創意工夫を促すとともに、「消滅可能性自治体からの脱却」の実現に向け、新規施策などについて各担当部局とも議論を重ね、当初予算を編成いたしました。
令和7年度予算の要点については、提案理由の中でご説明申し上げますが、
予算総額は、一般会計で 444億2,500万円
特別会計で 379億8,292万円
合計しますと 824億792万円
となっています。
令和7年度予算を一言で申し上げるならば、「未来思考型・攻守メリハリ予算」です。
それでは主要な施策の概要について、新たに設置する局ごとに、ご説明申し上げます。
本質的な改善を目指す「総務経営局」
はじめに、「総務経営局」で実施する施策について、ご説明申し上げます。
まず、いじめを人権問題として捉え、これまでの教育現場による「教育的アプローチ」だけでなく、市長部局の人権推進課に「いじめゼロG」を設置し、「行政的アプローチ」による対応を可能とし、「すべてのいじめ問題の解決」を目指します。
市民の利便性向上や行政事務の効率化に向けては、「河内長野市DX推進方針」に基づき、デジタルトランスフォーメーションを推進します。また、自治体情報システムの標準化・共通化に取り組むとともに、自治会活動の担い手不足や役員の負担軽減を図るため、引き続き地域活動のDX化を推進します。
公共施設等の今後の方針や計画に関しては、公共施設等総合管理計画や、各個別施設計画、各種長寿命化計画に基づく適正管理を進めます。
また、的確な電話対応で顧客満足度を向上しつつ、職員のウェルビーイングを向上させる取り組みとして、録音機能等を有する通話管理システムを新たに導入し、不測の事態に備えるとともに、カスタマーハラスメントから職員を守る仕組みの整備を進めます。
守りの要「都市環境安全局」
続いて、「都市環境安全局」で実施する施策について、ご説明申し上げます。
まず、「犯罪発生率 府内最小の市」を今後も継続・強化するため、「安心統括監」として外部人材を配置し、防犯や交通安全をはじめ、市民生活の安全・安心を守る施策を総合的かつ部局横断的に取り組みます。
交通安全の具体的な取り組みとしては、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されたことを踏まえ、市民の命を守ることにつなげるため、0歳から18歳までの児童・生徒等と65歳以上の高齢者に対しヘルメット購入代金の一部を助成する「じこヘルさぽーと(通称・ヘルさぽ)」制度を導入し、ヘルメットの着用を促進します。
また、市で管理する街路樹や公園緑地の樹木などについて、クビアカツヤカミキリなどの病害虫による被害が急激に広がっていることから、倒木の恐れがある危険木の伐採を行います。
開設から長期間経過した公園においては、より効果的・効率的な公園運営を行うため、令和7年度にモデル地区を設定し、遊具等の施設再編に取り組みます。
環境施策については、2050年までにゼロカーボンを達成するため、太陽光発電設備の個人向けの補助を拡充し、南河内初の「電気をお得に『つくる・ためる・つかう』を応援する補助制度」を創設します。再生可能エネルギーの導入及び温室効果ガス排出量の削減により、脱炭素社会に向けたまちづくりを推進します。
課題解決と成長の両輪を目指す「成長戦略局」
続いて、「成長戦略局」で実施する施策について、ご説明申し上げます。
新たに設置する営業部は、外部人材である「営業部長」のもと、市の「価値を売り込む力」「稼ぐ力」を生み出し、効果的な「プロモーション」を展開します。
特に、ふるさと納税の業務では、営業部内に「ふるさと納税課」を設置し、独立させることで体制の強化を図ります。市内事業者等と連携を強化し、魅力的な返礼品の充実に積極的に取り組みます。また、現在でも充実している企業版ふるさと納税をより多くの企業に拡大します。加えて、ガバメント・クラウドファンディングを活用した課題解決についても、果敢に攻め、これまで以上に積極的に進めてまいります。
また、4月からはいよいよ2025大阪・関西万博が開催されます。本市では、令和6年度より、公民連携による「つながる河内長野」推進事業において、広く市民や事業者・関係団体を巻き込みながら進めてまいりました。中でも、河内長野固有の「ここにしかない価値」を表現する舞台作品の制作を後押しするとともに、今からアフター万博を見据え、万博後にも続く価値を意識したうえで、関連事業に取り組みます。
加えて、市民とともに万博に参加することで、シビックプライドの醸成を図るとともに、日本遺産関連商品や本市の特産品、ワークワクワク河内長野などを出展し、本市の魅力を国内外に広く発信します。さらに、万博を契機に姉妹都市カーメルをはじめとした国際交流を推進します。
観光ハブ拠点として位置付けている「観光案内所」や「道の駅奥河内くろまろの郷」については、さらに機能充実を図り、観光客を迎える環境整備を行います。
また、従前から取り組んでいる「(仮称)南花台中央公園」の整備に加え、本市唯一の総合公園である「寺ケ池公園」全体のリニューアルにも取り組みます。進め方においては、ワークショップ形式などを活用しながら、市民にリニューアルそのものを「自分ごと」として捉えていただき、より市民の声を反映した公園整備を目指します。選ばれるまちの重要な要素の一つが公園です。その魅力の向上により、新たな住民を呼び込みます。
さらに、市民総合体育館においては、特に夏場の暑さに対し、改善を求める声が多くあることを踏まえ、利用者の熱中症対策として空調設備を設置します。
小山田西地区及び高向・上原地区におけるまちづくりに関しては、本市の将来像を見据えながら土地利用の促進を図ります。
まちの顔である河内長野駅周辺をより魅力あるものとするため、旧保健センター及び休日急病診療所用地について、民間のノウハウを活用し、事業者への売却も視野に入れながら河内長野駅東側を再生します。
また、本市の課題である交通の利便性向上を図るため、堺方面へのアクセス道路の整備と周辺のまちづくりを、地元地域や大阪府などの関係機関と連携を図りながら進めます。大阪南部高速道路の事業化に向けては、引き続き、国・府に対し、積極的に働きかけます。
公共交通については、利用者の減少や燃料費の高騰などに加えて、バスの運転手不足が深刻化しています。現状の路線網の維持が困難な状況の中でも、事業者と協力し、持続可能な公共交通ネットワークの構築に取り組みます。
以上、これらの成長戦略に基づき、市民が変化を実感できるまちづくりに取り組んでまいります。
こどもど真ん中「こどもの未来とウェルビーイング推進局」
続いて、「こどもの未来とウェルビーイング推進局」で実施する施策について、ご説明申し上げます。
まず、子育てしやすい環境整備として、こども園等で実施するオムツなどのサブスクリプションサービスの導入などに対して補助を行います。これにより、保護者の負担軽減を図り、子どもと保護者が手をつないで登園できる「手つなぎ登園」を実現します。
また、今後、特に負担の大きい多子世帯の負担軽減を目的とした第2子以降の保育料無償化を令和8年度からスタートすべく、令和7年度は事業スキームの検討やシステム改修などの準備を進めます。
さらに、子どもの特性を早期に発見し、その特性に合わせた適切な支援を行うために、5歳児健康診査を導入し、生活習慣やその他育児に関する助言など、子育て家庭を伴走支援します。
ひとり親家庭の貧困を防ぐ対策としては、養育費を確実に受け取ることが重要です。そのため、これまでの養育費の保証制度をさらに充実させ、より利用しやすくします。また、「伝える」より「伝わる」アナウンスを強化し、制度の周知徹底を図ります。
市民のウェルビーイング向上は、身体の健康面の取り組みとして、これまで検査体制の構築を進めてきた胃内視鏡検査を令和7年度から開始します。
さらに、子宮頸がんワクチンについては、接種の対象は小学校6年生から高校1年生相当の女子に限られていますが、本市は男子に対しても、府内初となる接種費用の全額を助成する制度を開始します。
「個」が活きる多様で高水準な教育環境を実現する「教育委員会」
最後に、「教育委員会」で実施する施策について、ご説明申し上げます。
子どもは未来そのものです。その未来を切り拓く力を育むため、子どもたちが自ら課題を見つけ、主体的に判断し、課題と向き合える能力を育む必要があります。また、一つのことを深く掘り下げる探求能力を高めることも重要であり、その学びの環境を整えるべく、令和8年度にモデル校の設置を目指し、令和7年度は教育実践に向けた研究を行います。
加えて、協働的な学びや個別最適な学びを充実させる一環として、児童生徒一人ひとりの学習理解度や学習進度に応じた学習内容を提供するアダプティブラーニングを進めるため、中学校に学習動画の視聴ができるAIソフトを導入します。
また、伝統文化や英語、科学など、地域の教育力を活かしながら、子どもの体験機会の充実を図ります。
さらに、学校教育課に「学校ハビリテーションルーム準備G」を設置し、学校現場において、作業療法士や言語聴覚士などの専門人材が特性のある子どもに対し、定期的にアプローチし、子どもの個々の特性に応じたサポートを行うことのできる体制構築に向けた検討を進めます。教育・医療・福祉の連携を具現化し、「誰一人取り残さない」という強い思いで体制を構築します。
学校施設の充実については、まず、学校の小規模化への対応として、加賀田小学校と加賀田公民館の複合化に加えて、美加の台地区における施設一体型小中一貫教育推進校の整備に取り組みます。
また、昨今の夏の暑さに対する熱中症対策として、小中学校の体育館における空調設備の設置を令和7年度で完了させ、良好な教育環境の整備に努めます。
さらに、小学校に加え中学校全員給食の実施に向け、学校給食センターの新設に取り組むとともに、全員給食の受け入れに対応するため各中学校において配膳室を整備します。また、小学校の配膳室においては、施設の老朽化に対する計画的な改修工事とエアコンの設置により、安全・安心な給食を提供します。
以上、主要な施策について、その概要を申し上げました。
今後とも、議員の皆さま並びに市民の皆さまとともに、本市のさらなる発展に向けて全力で取り組んでまいりますので、なお一層のご支援とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
令和7年2月28日
河内長野市長 西野修平