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埋蔵文化財とは?
埋蔵文化財・発掘調査について
埋蔵文化財とは?
私たちが日常生活している土地には、先人たちの生活の痕跡が埋蔵されていることがあります。文化財保護法では、こうした土地に埋蔵されている文化財を「埋蔵文化財」(法第57条第1項)とし、埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」と定義しています(法第57条の2第1項)。周知の埋蔵文化財包蔵地は一般には「遺跡」と呼ばれています。
埋蔵文化財は、我が国の歴史や文化の成り立ちを理解する上で欠くことのできない豊かな情報を提供してくれる貴重な歴史的遺産であり、将来の文化の向上発展の基礎をなすものです。また各地域の自然・社会環境の中で、先人たちが営んできた生活の直接的な証であり、その地域固有の歴史と文化を物語る遺産です。それらは、地域にとって誇りと愛着をもたらす精神的拠り所であり、個性豊かな地域の歴史・文化環境を形成する重要な要素です。特に近年の考古学とその学際的な研究の発展によって、文化や学術の進展に必要な情報資源としての重要性が高まっています。また生涯学習社会の到来が言われるなか、国民の埋蔵文化財に対する興味、関心が大きな高まりを見せています。
周知の埋蔵文化財包蔵地(遺跡)は、遺構と遺物によって構成されています。遺構は、古墳や住居跡といった人間の行為が土地に刻まれ、動かすことができないものをいい、遺物は、人間が手を加えて作った石器や土器といった過去の人工物やそれに伴う自然物など全てを指します。これらの遺構や遺物は文字資料の残らない過去にさかのぼり、当時の歴史情報を提供してくれます。
本市においてはこの周知の埋蔵文化財包蔵地が多数存在しており、旧石器時代から現在に至る様々な先人たちの活動痕跡が土地に刻まれ、多種多様な遺構、遺物が地中に埋蔵されています。こうした遺構、遺物から情報を汲み取る遺跡の発掘調査は、我が国の歴史を正しく知る上で欠くことのできない作業です。
埋蔵文化財の保護行政の准進については、市民の理解と協力を得ることが不可欠であり、開発事業との円滑な調整を図りつつ埋蔵文化財を適切に保護していく必要があります。こうした周知の埋蔵文化財包蔵地において開発など土木工事を予定されている場合は、あらかじめ届出又は通知を求め、できる限り現状保存を図るとともに、現状保存できない場合は、発掘調査等の措置をとり、貴重な文化財の持つ情報を記録の形で保存しています。
『文化財保護のてびき』2001 藤井寺市教育委員会より抜粋