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令和6年度施政方針

印刷ページ表示 更新日:2024年2月29日更新
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令和6年2月29日

河内長野市長 島田 智明

まず、この度の令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。本市におきましても、引き続き大阪府をはじめとした関係団体と連携を図りながら、被災自治体の支援をしてまいります。

それでは、令和6年度の当初予算案の説明に先立ち、今後の市政運営について、私の所信の一端を申し上げ、議員の皆さま並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

国内の経済状況として、このところ一部に足踏みも見られるものの、緩やかに景気が回復している状況です。先行きについては、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されている一方で、海外景気の下振れや物価の上昇に加え、令和6年能登半島地震など、景気を下押しするリスクもはらんでおり、引き続き注視が必要な状況が続くものと見込まれています。

また、急速に進行する少子化とその背景にある若年層の将来不安への対応など、「時代の転換点」ともいえる構造的な変化と課題にも直面しています。政府はこうした状況に対し、新時代にふさわしい経済社会を創造すべく、「人への投資」の強化、少子化対策・こども政策の抜本強化、地域・中小企業の活性化など、「新しい資本主義」の実現に向けた取り組みを加速させていくとしています。

本市においては、地域通貨「モックルコイン」を、昨年8月中旬頃から全市民に2千円分、加えて、今年1月中旬頃から20歳以下の市民に1万円分を配布したことをはじめ、市民や事業者の皆さまを支える幅広い支援策を実施したことにより、市民生活の下支えや地域経済の活性化に一定の効果があったものと認識しています。しかしながら、長引く物価高騰の影響により、依然厳しい生活状況が続いています。今後においても、引き続き、市民の皆さまが安心して暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

さて、本市は昭和29年に市制を施行し、今年4月で70周年の節目を迎えますが、改めて本市に引き継がれる特性や魅力に目を向け、最大限に活用することで、市民の皆さまにとって誇れるまちづくりを推進します。また、政府が進める少子化対策・子育て施策のさらなる展開に対応するため、令和6年度に「こども部」を新設します。本市における子育て環境をより一層充実させることで、「子育てのまち かわちながの」として、子育て世代を中心に移住・定住促進等にも注力します。

令和6年度においても、資源を活かして工夫を重ね、新たな価値を創造するまち「スマートシティ」の実現に向けて、快適に暮らせるまち「スマートライフ」、観光で訪れるまち「スマートツーリズム」、効率的で便利なまち「スマートガバメント」の3つを柱に取り組みを進め、人々に選ばれるまちづくりを推進します。

また、これらの施策遂行の土台として、「スマートファイナンス」を新たな柱として位置付け、安定した財政基盤の確立をめざし、自主財源の確保策に取り組みます。

令和6年度の当初予算について、歳入面では、人口の減少や高齢化による個人市民税の減収や、3年に一度の評価替えの影響による固定資産税の減収を見込む一方、歳出面では、高齢化の進展に伴う社会保障関係費の増加、物価上昇・賃金上昇への対応などを見込んでおり、依然として厳しい財政状況での令和6年度予算編成となりました。

このような状況の中、今後も持続可能な行政経営を行うため、引き続き「包括予算制度」のもと、特別職を中心とした「予算編成会議」を設け、「現場視点」による事業の見直しと、「全庁視点」による横断的、全庁的な取り組みを進めながら、十分に議論を重ね、「収支均衡の予算編成」を行いました。

令和6年度予算の要点については、提案理由の中でご説明申し上げますが、

予算総額は、一般会計で  417億2,800万円

      特別会計で  373億9,440万9千円

      合計しますと 791億2,240万9千円

となっています。

 

それでは、令和6年度の主要な施策の概要について、ご説明申し上げます。

はじめに、快適に暮らせるまち「スマートライフ」に関する施策について、ご説明申し上げます。

まず、誰もが安心して出産・子育てができるよう、伴走型の相談事業に取り組むとともに、経済的に困窮する妊婦に対して初回の産科受診料の費用助成を新たに実施します。また、子ども医療費助成事業の助成対象年齢を18歳到達年度末まで拡充し、子育て世代の経済的負担を軽減します。さらに、保育士確保及び保育環境改善の一環として、障がい等保育が必要とされる児童に配置する加配保育士の人件費に対する補助を増額し、保育の質の向上を図ります。

放課後児童会については、利用する児童が年々増加し、場所や人材確保が課題となっていることから、民間法人等が開設する放課後児童会の運営や夏季休業期間の預かり事業を支援し、新たな受け皿の確保を図ります。また、英語村構想事業の取り組みを継続し、幼児期から英語に触れることのできる様々な機会を提供することで、子どもたちの英語によるコミュニケーション能力向上を促進します。

学校の小規模化への対応については、令和6年4月に開校予定の南花台小中一貫校において必要な整備を継続するとともに、美加の台地区においても取り組みを進めます。また、昨今の夏の暑さに対する熱中症対策として、小中学校の体育館において空調設備を設置し、教育環境の改善に努めます。さらに、小学校に加え中学校全員給食の実施に向け、学校給食センターの新設に取り組むとともに、全員給食の受け入れに対応するため各中学校において配膳室を整備します。

赤峰産業用地化を契機としたスポーツ施設の再編整備については、全市的なまちづくりと連動しながら、中長期的な構想の具体化を図ります。

南花台地区をモデルとしたスマートエイジング事業については、南花台地区に留まらず、日東町・大師町等の他地区への横展開を進め、市民生活の質の向上を図ります。南花台地区では、引き続きコノミヤテラスを中心としたまちづくり施策を推進し、電動ゴルフカートを用いた移動支援「南花台モビリティ クルクル」の自立運営に向けた支援や、サッカースタジアムを軸とした「(仮称)南花台中央公園」の整備を進めます。

また、先端技術を用いた遠隔診療の仕組みを構築するため、引き続き、河内長野市医師会地域連携室と連携しながら取り組みを進め、安心して暮らし続けられるまちづくりにつなげます。

次に、誰もが安心して暮らせる地域福祉の充実の一環として、河内長野市後見支援センターの運営を行い、成年後見制度の利用が必要な人に対し、適切に支援につなげる地域連携の仕組みを整備します。また、加齢性難聴者の補聴器購入費用助成を新たに実施し、加齢性難聴者のコミュニケーションを円滑化し、社会参加を促進します。さらに、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、見舞金の支給を新たに実施します。

環境にかかる取り組みとしては、2050年までにゼロカーボンを達成するため、個人・民間事業者向けの補助事業を拡充し、再生可能エネルギーの導入及び温室効果ガス排出量の削減により、脱炭素社会に向けたまちづくりを推進します。また、補助制度の周知と脱炭素に繋がる生活スタイルの普及啓発を効果的に行うことによって、脱炭素にかかる市民意識の醸成と行動喚起を促します。

さらに、河内長野市廃棄物減量等推進審議会からの答申を踏まえ、ごみ出しやごみの収集にかかる課題の解決に向け、ふれあい収集の要件緩和や公設ごみステーションの設置などを行います。加えて、ごみステーション管理の地域の負担を軽減するため、新たにカラス除けネット等の購入補助を行うなど、さまざまな取り組みを展開し、家庭ごみ収集における制度の改善と拡充、利便性の向上を図ります。

 

続いて、観光で訪れるまち「スマートツーリズム」に関する施策について、ご説明申し上げます。

まず、2025大阪・関西万博の開催も見据え、日本遺産及び世界かんがい施設遺産を中心とする歴史文化遺産や自然など、本市が持つ潜在的な観光資源を活かしたプロモーションや、交流人口の増加に向けた取り組みを進めます。

令和5年度より推進しているブランディング事業について、令和6年度は本市のブランド理念等をインナーブランディングにより形作り、まずは市職員の間で浸透させてまいります。また、ブランディング事業に基づき、「つながる河内長野」推進事業として市制施行70周年の催事等を開催するとともに、2025大阪・関西万博に向け、広く市民や事業者、関係団体を巻き込む体制づくりに取り組みます。さらに、これらの事業の一環として、原動機付自転車のご当地ナンバープレートを導入し、市民の皆さまが誇れるまちづくりにつながるシビックプライドを醸成します。

次に、産業振興として、赤峰産業用地化に向けた取り組みをはじめ、市内事業者の連携強化や販路拡大につながるオープンカンパニーを継続するとともに、市内事業者が、万博関連のイベント等に出展し、魅力を世界に向け発信することなどで国内外の企業とつながる仕組み作りに取り組みます。また、国・府等が実施する事業者向けセミナーの参加費用を補助することで、市内事業者の経営力強化を図ります。

本市の課題である交通の利便性向上を図るため、堺方面へのアクセス道路の整備に向けた取り組みを進めるとともに、大阪南部高速道路の事業化に向けて、関係機関などと連携しながら、引き続き国・府に積極的に働きかけます。

加えて、バス交通網の維持が課題となっていることから、市内移動の潜在需要把握を目的としたモックルコミュニティバスの実証運行などを行い、公共交通網の再構築をめざします。

小山田西地区及び高向・上原地区におけるまちづくりに関して、本市の将来像を見据えながら土地利用の促進を図るとともに、河内長野駅周辺の中心市街地については、保健センター跡地の活用を含めて活性化を検討してまいります。

 

続いて、効率的で便利なまち「スマートガバメント」に関する施策について、ご説明申し上げます。

まず、市民の利便性向上や行政事務の効率化に向け、「河内長野市DX推進方針」に基づき、デジタルトランスフォーメーションを推進します。また、自治体情報システムの標準化・共通化に取り組むとともに、マイナンバーカードの普及・利活用を促進します。さらに、自治会活動の担い手不足や役員の負担軽減を図るため、電子回覧板等の地域交流アプリの導入実証事業を実施し、地域活動においてもDX化を推進します。

設置から長期間経過した遊具等の公園施設については、より効果的・効率的な公園運営を行うため、ストック再編を検討します。また、公共施設等の今後の方針や計画に関しては、公共施設等総合管理計画や、各個別施設計画、各種長寿命化計画に基づく適正管理を進めます。さらに、従来の公民連携に加え、企業版ふるさと納税人材派遣型などの枠組みも活用し、民間事業者のノウハウ活用や関係人口の創出・拡大にも取り組むことにより、地方創生・地域活性化を推進します。

 

最後に、安定した財政基盤の確立「スマートファイナンス」に関する施策について、ご説明申し上げます。

まず、産業用地の確保に向けた取り組みなど、雇用を創出し、税源涵養に資する施策に資源を投入し、地域経済の活性化による税収の底上げを図ります。ふるさと納税について、改めて市内事業者等と連携し魅力的な謝礼品の充実に積極的に取り組むとともに、市外事業者との連携も強化し、企業版ふるさと納税の拡大等にも努めます。

また、引き続き一括運用基金のもと、債券運用を積極的に行い、運用収益の増加を図るとともに、市有財産の売却や貸与、ネーミングライツの活用などによる歳入確保にも努めることで、持続可能な行財政運営を継続します。

以上、主要な施策について、その概要を申し上げました。

 

令和6年度は、市長就任から8年目の年となり、私にとっては2期目の集大成の年となります。振り返りますと、市長就任以来、本市は府内でも人口減少と少子高齢化という社会潮流の最先端を突き進む先進都市であるという認識のもと、他の自治体に先駆けて課題解決のモデルを構築してまいりました。

スマートエイジングシティの取り組みでは、住みなれた場所で安心して快適に住み続けられるように、移動支援や遠隔診療の実証事業を実施し、また、環境分野においては、国の交付金を活用し、2050年ゼロカーボン実現を目指した取り組みを進めています。産業振興では、産業用地の確保や「ワークワクワク河内長野」を推進し、また、観光振興では、3つの日本遺産の活用や「楠公さん」NHK大河ドラマの誘致等を広域連携で意欲的に取り組んでいます。さらに、堺方面へのアクセス道路の整備や大阪南部高速道路の事業化を目指すとともに、赤峰市民広場、小山田西地区、高向・上原地区の3地区で産業用地化を推進しています。これらの他、本市の課題の解決を図るべく、現在進行形で様々な取り組みが進んでいます。

市制施行70周年の節目を迎える本市ですが、市民の皆さまが安心して暮らせるまちづくり、市民の皆さまが誇れるまちづくり、また、人々に選ばれるまちづくりを目指し、本市の魅力を未来へとつないでいけるよう、さらに邁進してまいります。

今後とも、議員の皆さま並びに市民の皆さまとともに、本市のさらなる発展に向けて鋭意取り組んでまいりますので、なお一層のご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。