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基本構想(素案)読み上げ用ページ(第1章)

印刷ページ表示 更新日:2018年10月11日更新
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第1章 まちづくりの基本方向

1.まちづくりの歩みと資源

(1)本市の歩み

  • 本市域では、古くから人々の営みが行われており、旧石器時代の遺跡が発見されています。続く縄文時代や稲作がはじまった弥生時代、大師山古墳などが造られた古墳時代の遺跡も数多く見られます。
  • 古代には、河合寺、観心寺、天野山金剛寺などの寺院が建立されました。また、河内の国から大和、和泉、紀伊に通じる街道が交差し、さらには、高野山が開かれると京とを結ぶ高野街道が市域を南北にとおり、交通経済の要衝として発展しました。
  • 南北朝時代には、観心寺や天野山金剛寺は、楠木正成らとともに南朝方に味方し、南朝の一大拠点となりました。そして、一時は、南北両朝の天皇の行在所にもなりました。
  • 農業技術の発展により江戸時代には、寺ケ池や水路の築造により新田開発が盛んに行われました。また、鎌倉時代から江戸時代にかけて、鋳物業やスギ、ヒノキの伐採による林業、薪炭業、高野豆腐製造などがはじまり、その後の本市域における産業の基礎となりました。
  • 明治時代には、高野鉄道(現・南海高野線)と河南鉄道(現・近鉄長野線)が開通し、引き続き交通結節点として発展を続けました。また、大阪近郊の観光・レクリエーションの場としても親しまれてきました。
  • 昭和29年に、長野町、三日市村、高向村、天見村、加賀田村、川上村の6町村が合併し、本市が誕生しました。
  • 昭和40年代以降は、高度経済成長を背景に、急激に住宅団地の開発が進み、市制施行時には約3万人であった人口が、平成12年3月末には123,492人に達し、大阪都市圏のベッドタウンとして重要な地位を占めるようになりました。
  • 人口の拡大とともに、都市化に対応した道路・駅前整備・上下水道・義務教育施設など都市基盤の整備をすすめ、河内長野駅前・三日市町駅前の再開発や大阪外環状線の全線開通、国道371号バイパスの開通、府営滝畑ダムの建設、千代田駅前交通広場の整備などが行われてきました。
  • 基本的な都市基盤施設の整備に加えて、保健センター、障害者福祉センター、ラブリーホール、コミュニティセンター、子育て支援センター、第2清掃工場、市民交流センター・図書館などの住民生活を支える施設整備や情報公開、モックルコミュニティバスの運行、ごみシール制の導入、水道水源保護条例、建築協定の締結など、豊かな市民生活を支える市民サービスの充実をはかってきました。

このように、本市では、恵まれた自然や歴史・文化を活かしながら、時代の進歩に対応した良好な住宅都市づくりを進めてきました。
一方で、第3次総合計画で掲げていた複合機能地域による都市機能の高度化や人口フレームとしていた133,000~140,000人は実現することができませんでした。

(2)本市の有する資源

1.豊かな自然と歴史・文化

  • 本市は大阪府の南東端に位置し、府内で3番目に広い面積(109.61平方キロメートル)を有しています。
  • 市域は、豊かな自然に恵まれており、市面積の約7割が森林に覆われています。
  • 水源地として、美しい水と肥沃な土壌にも恵まれており、内陸性の温暖な気候もあり、稲作や野菜、果樹の栽培にも適しています。
  • 石川の河岸段丘部には市街地が発展し、丘陵部に織りなすグリーンベルトなど、緑豊かな景観を持つ特徴的な地形が形づくられています。
  • 豊富な歴史遺産、文化財の数は、大阪府内はもちろん、全国的にも有数であり、まさに「まちじゅうが博物館」と称しても過言ではありません。

2.ほぼ充足しつつある都市基盤

  • 本市では、高度経済成長期以降の人口急増に対応して、駅前開発や義務教育施設、道路、文化施設の整備など、都市基盤の充実に努めてきました。
  • この結果、公共下水道や広域幹線道路などは引き続き整備が必要ですが、市民生活を支える基本的な都市基盤はほぼ整っていると言えます。

3.活発な市民活動、豊富な人材

  • 本市では、自治会・町内会を中心とした地域活動が活発であるほか、「祭り」などの伝統文化も市民生活に根ざしており、地域の活力の一翼を担っています。
  • 住宅団地が山地の尾根筋に開発されているものが多いため、小学校区単位で団地部と農村部の住民の交流が行われています。
  • 福祉をはじめ、自然、環境美化、観光、文化財などの多様な分野で、熱心なボランティア活動や活発な生涯学習活動も行われています。
  • 高投票率など政治・行政への関心の高さ、講座の参加など学習意欲の高さなど、市民意識は高いといえます。

以上のように、本市の資源は、これからのまちづくりにとって次のような可能性(ポテンシャル)を持っていると考えられます。

  • 豊かな自然や歴史・文化は、本市が発展してきた原動力であり、市民を過去から未来へとつなぐ核であるとともに、「都心回帰(注5)」の一方で進む「自然回帰(注6)」に対応し、本市がさらに発展する大きな魅力としての可能性を持っていると言えます。
  • ほぼ整った都市基盤は、今後、その量的な維持充実とともに、バリアフリーや安全・安心など豊かな市民生活を支えるために既存の施設・基盤の活用や質的な充実をはかることにより、さらに市民が暮らしやすく、魅力を感じる生活基盤として向上させていくことが可能です。
  • 活発な地域活動や市民活動は、これからのまちづくりに不可欠である地域コミュニティ(地域社会)の再生や、人と人との温かい触れ合いを求める人々が本市を訪れ、住み、学び、憩う際の魅力として、本市のまちづくりの原動力となると期待されます。
  • ベッドタウンとして発展してきた本市では、今後、いわゆる「団塊の世代(注7)」を中心に、さまざまな経験や知識を持つ人が「地域に帰ってくる」ことが予想され、昼間人口(注8)の増加とともに、地域活動の一層の活性化も期待できます。

2.本市を取り巻く時代潮流(直面する課題)

1.人口減少社会の到来と少子高齢化の進行

  • わが国の人口は、戦後一貫して増加してきましたが、今後は、少子化の進行により、早ければ平成19年(2007年)にも減少に転じると推計されています。
  • 本市では、昭和40年代後半以降に転入した世帯における「親世代」の高齢化が進行する一方、「子ども世代」の市外への転出が続き、それを補ってきた「ファミリー層」の転入が減少しているため、平成12年2月末の123,617人をピークに人口は減少傾向にあり、この傾向が続けば、平成27年度末の人口は11万人前後になると予測されます。
  • 少子高齢化が急速に進行しており、平成15年度末には約18%であった老年人口(65歳以上)割合は、平成27年度末には約29%になると予想されており、超高齢社会を迎えます。
  • 「団塊の世代」が大量に退職するため、短期間で生産年齢人口(注9)(15~64歳)が減少するものと思われます(平成15年度末約68%→27年度末約60%)。

人口の増加を発展の原動力としてきた本市にとって、人口減少社会の到来は、その「活力」を低下させることが懸念されます。

2.安全安心への信頼の揺らぎ

  • 平成7年の阪神・淡路大震災、平成16年の新潟県中越大震災をはじめ、相次ぐ異常気象の発生等は、自然災害の脅威を改めて示しましたが、今後は、東南海・南海地震発生の可能性が指摘されています。
  • 本市では近年、災害による大きな被害はなかったものの、東南海・南海地震(注10)では大きな被害を受けることも考えられ、その備えが課題となっています。
  • 犯罪の増加・多様化や食品の安全性への信頼を損なう事件等が市民の日常生活を脅かしています。
  • 本市は、大阪府内では犯罪発生率(注11)が低く、これまで「安全なまち」とされてきましたが、犯罪の認知件数(注12)は、長期的には増加傾向にあり、市民の安全安心への意識も高まっています。

市民の生命や財産を守り、安全・安心な環境を維持することは、特に重要なテーマであることから、市民が実感できる安全・安心な環境づくりが大きな課題となっています。

3.より重要となった環境との共生

  • 大量消費・大量廃棄型社会から循環型社会への転換は未だ途上にあり、地球全体の環境破壊が進行しています。
  • 都市化による自然の減少は、人間の社会生活にさまざまな負の影響を及ぼしています。
  • これに対し、京都議定書(注13)の発効など、国際的な環境保全への取り組みが本格化しており、「持続可能な発展(注14)」が世界各地で模索されるなど、将来の世代によりよい環境を引き継ぐ取り組みが進んでいます。
  • 自然だけではなく、歴史や文化など、先人から引き継いだ地域環境を活かした特色あるまちづくりが各地で試みられています。
  • 急速な都市化の中でも豊かな自然環境を守ってきた本市では、先駆的に環境保全に関する条例を策定するなどの取り組みを進めてきました。
  • 環境への意識が高い市民の協力の下、ごみの分別回収をはじめ、さまざまなリサイクル活動が市内全域で展開されています。
  • 食品の安全性への信頼の揺らぎを背景に、地元産品の地元での消費等の動きも進んできています。

環境との共生は、本市のまちづくりの普遍的テーマであり、また、本市の魅力の根源でもあります。今後とも豊かな環境を保全しながらいかに活用するかが課題となっています。

4.地方分権の進展と財政悪化

  • 住民の価値観やニーズの多様化等を背景に、地域ごとに「自ら考え自ら実行する」動き(「自律ある地方自治」)が高まっており、地方分権の流れが強まっています。
  • 一方、国と地方を合わせた公債(借金)残高は900兆円を超え、「右肩上がり」の経済成長を前提とした行政運営は、もはや限界となっています。
  • これまで整備を行ってきた社会基盤の維持管理コストが急増しており、今後、新たな大規模投資は困難な状況になっています。
  • 本市はこれまで、2度にわたる財政再建団体(注15)の経験を教訓に「行革先進都市」として堅実な財政運営を行うとともに、独自の条例の制定など、自立したまちづくりを行ってきました。
  • しかし、1990年代からの長引く景気の低迷や地価の下落などにより、本市の税収は減少しています。

このような地方分権の進展や税財源の移譲、財政悪化に加え、生産年齢人口の減少という、これまで経験したことのない局面を迎える中、徹底した財政健全化と市民ニーズ・緊急度・優先度などの視点での「選択と集中」が不可欠となっています。

5.まちづくり、社会づくりへの市民の参画拡大

  • 住民ニーズが多様化していく中で、行政主導によるまちづくりのみでは対応に限界が出てきています。
  • 一方で、自治会・町内会など、これまでコミュニティの中心的役割を果たしてきた組織とともに、NPO(注16)、NGO(注17)といった新しい組織の活動が活発化しており、行政や企業と対等な関係を構築しつつあります。
  • 本市でも、自治会・町内会の加入率は低下しつつありますが、依然として地域社会の中心となっているとともに、各種ボランティアグループの活動も活発化しつつあります。
  • 市民と市の関係の間にもパートナーシップ(注18)づくりに向けた動きが始まっており、情報の共有や相互信頼関係の形成が進められつつあります。

限られた資源や資産を有効に活用し、より豊かな生活環境づくりを進めていくために、市民・事業者・行政がより緊密に連携しあった「協働のまちづくり」が求められています。

6.高度情報化社会の進展

  • インターネットや携帯電話の爆発的な普及など、IT(情報通信技術)革命により、すべての人びとにとって生活の利便性や多様性も飛躍的に向上し、暮らしを大きく変えています。
  • そのことはまた、行政と住民、住民と住民の情報共有の関係にも大きな変化をもたらしています。
  • 一方で、情報格差(デジタルデバイド(注19))や情報犯罪の発生、人と人との直接的交流の減少などの新しい課題も発生してきています。
  • 本市では、電子市役所に向けた取り組みを行い、インターネットを活用した市民の利便性を高めています。
  • 早くから情報公開に取り組むなど、市民との情報の共有を積極的に進めてきており、さらなる充実が課題となっています。

情報技術の進歩が、安全性と利便性のバランスを取りながらすべての市民の生活の利益に結びつくような施策展開が求められるとともに、人と人のつながりによる情報共有の方法の確立が必要となっています。

3.これからのまちづくりの方向性 量的拡大から質的充実への転換

(1)基本的な考え方

以上に整理した時代潮流のうち、まず、人口減少・少子高齢化の進展をどのように捉えるかが、本市のまちづくりにとって特に重要な問題です。

  • 大阪都市圏のベッドタウンとして発展してきた本市にとって、人口増加こそがこれまでのまちづくりの原動力であり、過去の総合計画では将来人口の目標を15万人としてきました。
  • 人口減少・少子高齢化の進展は、これまでのまちづくりの考え方を変える必要があることを意味します。
  • わが国全体が人口減少・少子高齢社会の流れにあり、即効性のある対応策や解決策が見出せない状況にある中で、本市のみがそれに歯止めをかけ、再び人口を増加させることは、それに必要なコストや本市の置かれた地理的・社会的条件から考え合わせても、現実的ではありません。
  • 人口の増減にこだわらず、人口規模自体よりも「まちの活力」の維持・充実そのものをその目標とすべきであります。
  • 本市には、これまでのまちづくりで培われてきた多くの資源があります。
  • これらの貴重な資源を維持・活用すること、つまり「地域資源の循環」を活性化させることによって、「まちの活力」を維持・充実し、住み続けたい、住みたい、訪れたいという、まちの魅力を高めていくことが可能です。

第4次総合計画では、まちづくりの基本視点を量的拡大から質的充実へ転換するとともに、地域資源の循環を通して「まちの活力」を維持・充実していくことを基本方向とします。

(2)人口、都市構造

1.人口

  • 本市の人口は、平成12年度から減少傾向にあり、この傾向が続けば、平成27年度末の人口は11万人前後になると推計されます。
  • しかし、本市の有する資源を十分に活用し魅力的なまちづくりを行うことにより、流入人口の増加も見込めることから、平成27年度末の人口を結果として12万人となることを想定します。
  • 一方、第4次総合計画では、人口規模自体を目標とせず、「まちの活力」の維持・充実を基本方向とすることから、これまでの定住人口(注20)や交流人口(注21)といったものに、活動人口という考え方を加えます。
  • 「活動人口」(※)とは、従来の生産年齢人口などの年齢区分に捉われず、まちづくりのために活動する人々の数(や時間)を表したもので、この活動人口が増えれば、例え人口の規模が小さくなっても、実質的なまちの活力を維持・充実していくことができます。

(※)「活動人口」:「都市の活力=人口×活動する人の数や時間」とすると、人口が減っても活動する人の数や時間が増えれば都市の活力は、維持・拡大することになります。活動人口とは、従来の生産年齢人口などの年齢区分に捉われず、まちづくりのために活動する人々の数や時間によって表わされる「まちの活力」を示す指標です。

2.都市構造

  • 「まちの活力」を維持・向上するためには、貴重な地域資源を循環させることができる都市構造が重要です。
  • このため、第4次総合計画では、豊富な地域資源を有する現在の都市構造を承継しつつ、人・自然・歴史文化・まちが互いに関連しつつ循環していくことを目標とし、これまでの経緯も踏まえながら社会経済動向を見極め、民間活力を活用して、「まちの活力」の維持・充実、活動人口の受け皿となる機能配置をはかります。

(参考)本市の都市構造(地域資源)

本市の都市構造(地域資源)の図