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平成21年度施政方針
平成21年2月27日
河内長野市長 芝田啓治
平成二十一年度の当初予算案の説明に先立ち、今後の市政運営につきまして、私の所信の一端を申し上げます。
平成二十一年度は、私にとりましては初の当初予算編成を行った年度であり、厳しい財政状況の中での予算編成でありました。改めて、市長としての責任の大きさと課せられた使命の重さをかみしめ、限られた財源の中ではありますが、多くの課題解決を図っていきたいと心を強くしております。つねづね申し上げておりますとおり、「河内長野で子どもを育てたい」、「河内長野に住みたい」、「河内長野を終のすみかとしたい」と言っていただけるまちづくりを推進していきたいと考えております。
さて、昨今の社会情勢を見ますと、世界経済は百年に一度とも言われる大不況に見舞われています。わが国も非正規労働者の大量解雇や大企業の大幅な赤字転落などに見られるように未曾有の状況にあり、国民の不安はかつてなく高まっております。
国においては、現下の雇用情勢や社会不安に対応するため、定額給付金事業や雇用対策事業などが補正予算で矢継ぎ早やに打ち出されており、これを受けて地方自治体においても迅速な対応が求められております。
また、大阪府においては、昨年就任された橋下知事が次々と改革案を打ち出され、単に府政内部の改革にとどまらず、道州制や権限移譲などにより国と地方、そして府と市町村との間に新たな関係を築こうとされています。
このような状況のもと、市民のみなさんに安心して暮らしていただくためには、私をはじめ職員一人ひとりの日々のたゆまぬ努力が必要であることを改めて自戒するとともに、現状は本市行政にとっても大きな試練だと捉えております。
国や府の動きを十分注視するとともに、市民生活に一番近いところにある市町村が新たな局面で果たすべき役割をしっかりと自覚して取り組んでいかなければならないと考えております。
さて、本市の財政状況は、人口減少による収入減や国の「三位一体改革」による地方交付税の削減などにより、依然として非常に厳しい状況にあります。
平成二十一年度予算では、引き続き一昨年に策定した行財政改革の指針である「第三次行財政改革大綱」及び具体的な実行方策を明示した「第三次行財政改革実施計画」「第二次財政健全化プログラム」にしたがって行財政改革の取組みを進めてまいります。その上で、私の改革の初年度として市議会各会派からのご要望や時代の要請、市民ニーズを踏まえ、予算編成を行ったところであります。
予算総額は、一般会計で 三〇一億一,〇〇〇円
特別会計で 二九九億六,四一二万九,〇〇〇円
合計しますと 六〇〇億七,四一二万九,〇〇〇円であります。
これは、平成二〇年度当初予算に比べまして、一般会計で一.二%の増加、特別会計で二.三%の減少、総額で〇.六%の減少であります。
当初予算案の要点については、提案理由の中でご説明申し上げますが、私が就任以来掲げております「4つのK」の観点から施策の再構築を行いましたので、主要な施策の概要を申し上げます。
まずは、「教育」のKでございます。
「河内長野で子どもを育てたい」と言っていただくためには、何よりもまず教育立市にふさわしい豊かな教育環境が求められます。学校教育の充実を図るため、「学校教育のあり方を考える懇談会」を設置して小中一貫教育などを検討するとともに、中学校の今後の給食のあり方について検討を行う「中学校給食調査検討委員会」の設置や、中学三年生の三学期に放課後学習を実施する学習支援アドバイザーの派遣などを実施してまいります。
また、従来から計画的に進めております学校施設の耐震化については、中学校施設の老朽改修・耐震補強工事を実施するほか、平成二〇年度予算で実施する小中学校施設耐震調査の結果を受けて学校施設全体の耐震化計画の見直し等を進めてまいります。
二つ目は、「経済」のKでございます。
「河内長野に住みたい」と思い続けていただくために必要な持続的なまちづくりを行うため、私が市政改革の柱と考えております「市民協働型の行政への転換」に向け、地域で意見交換や課題の共有などを行う「まちづくり交流会」の開催地域・回数を増やすなど、これまで以上に積極的に進めてまいります。
また、大都市近郊にある本市の立地条件を活かし、地産地消の推進など、農の資源を活用した地域産業振興を図るため、「農の拠点」づくりの基本計画策定などに取り組んでまいります。
三つ目は、「環境」のKでございます。
本市への転入者を対象としたアンケートによりますと、多くの方が、居住地を選んだ理由として「自然環境に恵まれている」点を挙げられています。「河内長野に住みたい」と言っていただくための貴重な資源である豊かな森林を健全な状態に維持し、これを次世代に引き継ぐための「かわちながの森林プラン」について、美しい森林(もり)づくりのために国が設けた交付金を活用するなどして、積極的に間伐等の整備を行ってまいります。
また、本市の実情に即した持続可能な公共交通サービス構築のため、昨年とりまとめた「河内長野市公共交通のあり方」に基づき、公共交通空白・不便地域におけるバス運行等の試行的な取り組みを実施してまいります。
四つ目は、「健康」のKでございます。
「河内長野で子どもを育てたい」と言っていただくために、出産から安心して子育てができる保健・医療の充実や、「河内長野を終のすみかとしたい」と感じていただけるよう、高齢者や障害者を支える地域ネットワークの確立に取り組んでまいります。
来年度から妊婦一般健康診査の公費負担を現在の五回から一四回まで拡大し、安心して出産していただける環境を整えてまいりますとともに、乳幼児等医療助成のうち、入院にかかる助成を市独自に小学校六年生まで拡大することにより、市民の皆さんが安心して子どもを育てることができるよう取り組んでまいります。
また、地域の医療・介護・福祉が連携して認知症高齢者とその家族を支える取り組みや障害者生活支援ネットワークの構築及び支援体制についての協議を行うための「障害者自立支援協議会」の設置などを進めてまいります。
本市では河内長野駅前再開発ビル「ノバティながの」のキーテナントが撤退を決めるという不測の事態が発生し、喫緊の課題となっております。この件に関しては、私もリーダーシップを発揮し、必要に応じてトップセールスに乗り出し、市民の不安を解消するために全力で取り組んでいるところです。本市の玄関口である河内長野駅前の賑わいを絶やさないよう取り組んでまいります。
また、千早赤阪村との合併問題については、昨年三月の合併協議会設立以来多岐にわたる項目について協議を進めていただいております。市としては、合併に関する市民の不安を解消し、合併後の河内長野市が活性化し発展できるよう、合併協議に入る三つの前提条件について、さらに府とも協議を行ってまいります。府との協議が整い次第、再度議会に説明させていただき、ご意見を賜り、そのうえで私も今後の方針について判断をしてまいりたいと考えております。
さて、私の市政もいよいよ二年目に向かおうとするところでございます。先に申し上げた諸課題をはじめとして、懸案事項は山積しておりますが、平成二一年度は私が考える安全・安心そして安定した緑と笑顔のあふれるまちづくりの実現のため、確実な道筋をつける年に当たると考えております。
河内長野市の発展に全力を尽くす所存でありますので、今後とも、議員並びに市民の皆さまには、なお一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。