本文
平成30年度施政方針
平成30年3月1日
河内長野市長 島田 智明
平成30年度の当初予算案の説明に先立ち、今後の市政運営につきまして、私の所信の一端を申し上げ、議員の皆さま並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
さて、国内の経済状況を見ますと、海外経済の緩やかな回復を背景に、輸出や生産が持ち直すなど企業部門を起点とした好循環が進展しております。しかし、少子高齢化・人口減少が進む中、人手不足を克服し持続的な経済成長につなげるためには、働き方改革と新技術の導入を同時に進め、生産性の向上と多様な人材の労働参加を図ることが大きな課題となっております。
一方で、近年は観光等を目的とした訪日外国人、いわゆるインバウンドが増加の一途を辿っており、平成29年の推計値は2,869万900人と、5年連続で過去最高を更新しました。これに伴い、訪日客の旅行消費額が4兆円を超え、こちらも5年連続で過去最高を更新している状況です。国におきましても、真の観光先進国を目指し、官民の取組みを後押ししていくとの方針が示されているところです。
本市としましても、こうした状況をチャンスと捉え、市内の貴重な歴史遺産や緑豊かな環境を観光資源として磨き上げ、インバウンドの流れを呼び込みたいと考えております。そのために、市内観光地の積極的なPRや受け入れ体制の整備を重点的に進めていきたいと考えております。
平成30年度の当初予算につきましては、歳入面では3年に一度の評価替えの影響による固定資産税の減収を見込む一方、歳出面では高齢化の進展に伴う社会保障関係経費の増加や、公共建築物等の老朽化対策費用の増加などを見込んでおり、依然として厳しい財政状況での編成となりました。
このような状況の中、新たな課題に的確に対応していくため、「包括予算」の制度を導入し、現場視点の改革を推進し、各部局の創意工夫を予算に反映しやすくするなど、限られた財源の範囲内で施策の選択と集中を行いました。
当初予算の要点につきましては、提案理由の中でご説明申し上げますが、
予算総額は、
- 一般会計で 327億5,000万円
- 特別会計で 350億695万4,000円
- 合計しますと 677億5,695万4,000円となっております。
平成30年度は、資源を活かして工夫を重ね、新たな価値を創造するまち「スマートシティ」実現に向けて、快適に暮らせるまち「スマートライフ」、観光で訪れるまち「スマートツーリズム」、効率的で便利なまち「スマートガバメント」の3つを柱に、魅力あるまちづくりを推進してまいります。それでは、平成30年度の主要な施策の概要につきまして、ご説明申し上げます。
はじめに、快適に暮らせるまち「スマートライフ」に関する施策について、ご説明申し上げます。
まず、安全・安心の取組みにつきましては、本市における昨年中の犯罪発生率は、府内33市の中で最も低い結果となりました。犯罪のない明るく住みよいまちづくりを目指し、警察や防犯協議会とさらなる連携強化を図り、自主防犯意識の向上と啓発に取り組んでまいります。また、自治会に対する防犯カメラ設置補助を継続するほか、自治会等管理防犯灯のLED化を推進し、「府内一、安全・安心なまち」という魅力を今後も維持してまいります。
また、災害等に対する取組みとして、先の台風被害の教訓も踏まえ、新たなハザードマップを作成するとともに、市民に対する啓発を行ってまいります。また、地域の住民と協働で地域版ハザードマップの作成を進めるなど、防災意識の向上を図りながら、市民とともに災害に強いまちづくりを進めてまいります。
さらに、近年頻発する豪雨や地震などの自然災害や、北朝鮮によるミサイル発射等の情報を迅速に伝えるため、全国瞬時警報システム(Jアラート)の新型受信機への更新を行い、情報発信までの処理時間の短縮を図ってまいります。
次に、多世代が住み慣れた場所で、快適にいきいきと暮らせるまちを目指し、医療関係者や住民などとの連携により、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいります。
まず、基盤となる「医療・介護の連携体制」の強化に向けて、様々な多職種連携推進事業を実施してまいります。
また、複雑・多様化する地域福祉課題に対応するため、地域の中の身近な福祉相談窓口として配置しているコミュニティソーシャルワーカー(CSW)の体制強化を図り、他機関・団体等と連携しながら総合相談体制を整備してまいります。
さらに、地域における住民主体の支え合いの仕組みを創出するため、市内各地域に「生活支援コーディネーター」を配置し、住民や関係団体等との協議・情報共有を進めながら、地域活動を支援してまいります。
一方で、認知症患者の増加対策としまして、医師・医療職・福祉職の専門職チームによる短期集中的な支援により、認知症の重度化の防止に努めてまいります。また、地域における身近な認知症の相談支援の取組みを推進するため、認知症地域支援推進員活動の充実に向けて、各地域包括支援センターにおきましても推進員の配置を進めてまいります。
子育て・教育の取組みとしましては、出産前から育児までの切れ目のない支援として、ニーズに合わせた産後ケアの実施に取り組んでまいります。また、特定不妊治療における保険外治療費に対する一部助成を行うほか、不育症治療に要した費用の一部助成を行うなど、経済的負担の軽減を図ってまいります。
また、子どもたちが快適な教育環境で学習能力が高められるよう、老朽化した学校施設の改修を進めるほか、中学校の普通教室へのエアコン設置に向けて取り組んでまいります。
健康の取組みとしましては、市民の健康ニーズの分析と課題の抽出を行い、「第4次保健計画」の策定に取り組んでまいります。また、「国民健康保険保健事業実施(データヘルス)計画」に基づく生活習慣病予防対策等の取組み実施により、被保険者の健康寿命の延伸と医療費の適正化を図ってまいります。
さらに、南花台スマートエイジング事業につきましては、多世代が快適にいきいきと暮らせるよう、住民を主体とした健康づくりの取組みなどを支援しながら、周辺地域との交流・連携を図ってまいります。
次に、公共交通の充実等につきましては、市民の重要な移動手段を確保するため、老朽化したモックルコミュニティバスの車両更新に併せて、運行内容の充実を図ります。また、高齢者の外出機会を創出し、健康増進や介護予防につなげるとともに、地域経済の活性化と、まちなかの交流人口増加を図るため、市内タクシー等の運賃負担軽減を図ってまいります。
一方で、増加する空地・空家等につきましては、「空家等対策計画」の策定に取り組んでまいります。また、空家等の有効活用の促進、地域住民の相互交流の促進及び地域社会の発展を図るため、空家等をコミュニティ活動拠点として改修し、地域課題の解決等に取り組む団体を支援してまいります。さらに、庁内組織の見直しにより、空家等対策の推進体制を強化してまいります。
都市基盤に関しましては、「河内長野駅周辺地区まちづくり方針」に基づき、建築物の共同化を支援するなど、中心市街地の活性化に取り組んでまいります。また、市営三日市住宅跡地につきましては、民間活力の活用により、三日市町駅周辺に地域拠点としてふさわしい都市機能や住宅を誘導するため、跡地を売却し、駅周辺の土地利用を促進してまいります。
さらに、第5次総合計画が示す「集約連携都市」の実現を目指し、「立地適正化計画」の策定に取り組んでまいります。
続きまして、観光で訪れるまち「スマートツーリズム」に関する施策について、ご説明申し上げます。
まず、市内にある国宝や重要文化財などの歴史遺産を貴重な観光資源として活用し、観光振興と地域活性化につなげていくため、観心寺と金剛寺を軸に「中世に栄えたまち」として日本遺産認定を目指してまいります。
また、「中世のサムライヒーロー楠公」をテーマとして、有形・無形の文化遺産の磨き上げに取り組むほか、楠木正成ゆかりの地を中心とした広域連携により「楠公さん」大河ドラマ誘致を行うための協議会を設置するなど、観光振興に向けた取組みを進めてまいります。
一方で、本市の緑豊かな環境を活かした観光振興の取組みとして、「道の駅奥河内くろまろの郷」周辺における体験プログラム充実、サイクリングマップを活用したサイクリストの誘客、ロゲイニング大会の開催などにより、交流人口の増加を目指してまいります。また、産品ブランド「奥河内ながのfoodo」のプロモーションとも連動しながら土産品の開発支援を行うなど、地産地消の推進と市内産業の振興を図ってまいります。
これらの取組みと併せて、観光情報を市内外に効果的に発信し、交流人口の拡大や地域活性化を図っていくため、観光情報ホームページのスマートフォン対応の強化など、情報発信コンテンツの充実に取り組んでまいります。さらに、観光協会の組織強化、観光拠点の整備、庁内の体制強化など推進体制の充実を進めてまいります。
また、まちの基盤づくりとして、広域農道や日野加賀田線の整備をはじめ、交流人口の増加にも結び付く、大阪河内長野線の延伸、堺アクセス道路及び大阪南部高速道路の実現に向けて、関係機関とも連携しながら取り組んでまいります。
最後に、効率的で便利なまち「スマートガバメント」に関する施策について、ご説明申し上げます。
平成29年度において、総務省が実施する業務改革モデルプロジェクトの採択を受け、庁内すべての業務を対象として、改善策の検討を進めてまいりました。今後、検討結果を踏まえ、窓口業務のワンストップ化とアウトソーシングの導入、内部管理業務の集約化など、市民サービスの向上と効率的・効果的な行政サービスの実現に向けて取り組んでまいります。
また、公共施設等の適切な維持管理と有効活用を図るため、各施設が担うべき役割やニーズに対応したあり方の方向性を示す、「公共施設再配置計画」の策定を進めてまいります。
さらに、こうした歳出に対する取組みと併せて、ふるさと納税制度の拡充や、ネーミングライツの活用等による歳入増にも取り組んでまいります。
以上、主要な施策につきまして、その概要を申し上げました。
なお、昨年には市内13の小学校区ごとに「おしゃべり集会」を開催し、参加者の皆さまから貴重なご意見やご提案を頂戴いたしました。本年におきましても、市民の皆さまとの直接対話の機会を設け、いただいたご意見等を市政運営に役立てていきたいと考えておりますので、何卒よろしくお願いいたします。
今後も、議員の皆さま並びに市民の皆さまと共に魅力あるまちづくりを推進していく所存でございますので、なお一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。