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「地縁による団体」の法人格取得の手続き
これまでの自治会・町内会等(以下、地縁による団体)は、「権利能力なき社団」と位置付けられ、団体名義での不動産登記や契約締結等ができませんでした。
しかし、地縁による団体では不動産等の資産を保有している場合も多く、これらの団体では会長名義などの個人名義で不動産の登記等を行っているため、名義人が転居や死亡などにより地縁による団体の構成員でなくなった場合に、名義の変更や相続などの問題を生じることとなります。こうした問題に対処するために、地縁による団体が一定の手続きのもとに法人格を取得できることで、個人財産と法人財産との混同を防ぐことができるようになりました。また、高齢者等への生活支援や地域交通の維持といった経済活動などを行っている団体についても、法人格を得ることで契約主体として活動の充実化、法律上の責任の所在の明確化、対外的な信用の獲得等、様々な恩恵を受ける可能性があり、地域活動のより一層の活性化が期待されます。
つまり、地域的な共同活動を円滑に行うことができるようにすることが、地縁による団体に対し法人格を付与する大きな目的です。
地縁による団体とは
一定の地域内に住所を有する者で組織された団体で、その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理などの地域的な共同活動を行っている団体が地縁による団体として認められています。したがって、宗教団体、老人会、婦人会、スポーツ愛好会のように特定目的、特定の属性を必要とする団体は、地縁による団体とは認められません。
法人格を取得するには
自治会・町内会(以下、地縁による団体といいます。)が法人格を得るためには、市の認可が必要です。地縁による団体は、この市の認可により法人格を得ることとなり、認可地縁団体としての法人登記は、市長が行う告示をもってこれに代えることとなりますので、法務局への法人登記にかかる手続きは必要ありません。
地縁による団体の認可要件
地縁による団体が法人格を得るためには、以下の認可の要件をすべて充たしていなければなりません。
- 地縁による団体の存する区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること。
- 地縁による団体の区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること。この区域は、当該地縁による団体が相当の期間にわたって存続している区域の現況によらなければならないこと。
- 地縁による団体の区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数(過半数以上)の者が現に構成員となっていること。
- 規約を定めていること。この規約には、
- 目的
- 名称
- 区域
- 事務所の所在地
- 構成員の資格に関する事項
- 代表者に関する事項
- 会議に関する事項
- 資産に関する事項が定められていること。
自治会・町内会等の法人化の手引き [PDFファイル/521KB]
認可申請の手続き
地縁による団体が、法人格を得るための認可の申請を行うにあたっては、総会における認可を申請する旨の決定を行った上で、代表者が認可申請書類を揃えて市長に対し申請することとなります。
認可手続きの流れ
- 事前調整
現に所有している不動産又は所有する予定の不動産の現況把握や地縁による団体が認可要件に該当するかどうかの確認、不動産を取得することによる各種租税の把握(登録免許税、法人税等)など、自治会内で十分話し合い、事前に調整する必要があります。 - 規約等の整理
認可要件で示した項目を備えた規約を整備する必要があります。
※作成した規約(案)など、申請書類について、事前に自治協働課と協議してください。 - 総会において、認可を申請する旨の議決
規約の決定、構成員の確定、代表者の決定、不動産等所有することとなる資産の確定は、同時に総会で決定しておくことが望まれます。 - 市長への認可申請
前述した認可申請書類を添付する必要があります。 - 市長による認可
提出された申請書類を審査の上、認可・不認可の決定。この認可をもって当該団体は権利能力を有し、法人格を得ることとなります。 - 認可した旨の「告示」
この告示をもって認可を受けた団体は、法人となったこと及び告示事項を第三者に対し対抗できることとなります。また、告示事項に変更があったときは、届出を行わなくてはなりません。 - 団体名義で資産の登記・登録
市が作成する地縁団体台帳の写しを登記申請書に添付し、法務局で手続きを行えば、登記が可能となります。
※登記の手続法及び登録免許税については、法務局にお問い合わせください。
認可申請書類
- 認可申請書
- 規約
- 認可を申請することについて総会で議決したことを証する書類 ※総会の議事録の写しで、議長及び議事録署名人の署名・押印のあるもの
- 構成員の名簿
※構成員全員の氏名、住所を記載したもの。構成員とは、区域に住所を有する個人であれば年齢、性別等を問わないものであるので、会員である場合には子供の名前なども記載する必要があります。 - その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を現に行っていることを記載した書類
※一般的には、前年度の事業活動報告として総会に提出した報告書等。ただし、当該報告書の内容として、具体的な活動内容がわかる程度の記載は必要です。また、広く広域的な共同活動の内容を記載することとし、特定活動のみを記載することのないよう注意が必要です。 - 申請者が代表者であることを証する書類
※申請者を代表者に選出する旨の議決を行った総会の議事録の写しで議長及び議事録署名人の署名・押印のあるものと、申請者が代表者となることを受託した旨の承諾書等の写しで申請者本人の署名・押印のあるものが必要です。
認可後の地縁団体
地縁による団体の代表者が、申請書類により市長に認可の申請を行い、市長は当該団体が認可の要件に該当していると認めるときは、当該団体に対し認可を行い、その認可をもって当該団体は当該団体は権利能力を有し、法人格を得ることとなります。 なお、認可を受けた地縁による団体が法人格を得たことを市長は認可後遅滞なく告示することとなっており、その告示事項に変更があった場合には、代表者は届出を行わなければなりません。
また、認可を受けた地縁による団体は、権利能力を得ることにより、法人としてそれ以前とは異なった法的な位置付け及び取扱がなされることとなります。
- 団体名義で資産の登記・登録ができます。また、登記申請書に登記権利者が添付する書類としては、認可を行った市が作成する地縁団体台帳の写しによる証明が必要となります。この証明書は、証明書交付請求書を市長に提出して交付を受けることとなります。
- 規約を変更する場合には、規約変更認可申請書に、規約変更の内容及び理由を記載した書類、規約変更を総会で決議したことを証する書類を添えて、市長に認可を申請し、認可を受ける必要があります。
- 認可を受けた地縁による団体は、法人として破産、解散及び清算については裁判所の監督の下に所要の手続きを進めることとなり、破産宣告の請求を怠ったときなどに非訟事件手続法に基づき裁判所により過料に処せられることとなります。
地縁による団体は、認可を受け法人格を取得したことにより法的な位置付け及び取扱いは変わりますが、団体自身の性格等は変わるものではありません。また、市長は、認可を受けた地縁による団体が認可要件のいずれかを欠くこととなったとき又は不正な手段により認可を受けたときは、その認可を取り消すことができます。
認可地縁団体証明書の発行など
- 認可地縁団体証明書(自治協働課で受付)
「証明書交付請求書」により交付します。
手数料は1部300円 ※告示後、発行できます。 - 認可地縁団体の印鑑登録(自治協働課で受付)
- 印鑑登録できる人
認可地縁団体の代表者本人のみ - 印鑑登録に必要なもの
- 認可地縁団体印鑑登録申請書
- 代表者の個人印(個人の印鑑登録されたもの)と印鑑証明
- 登録する団体印
- 印鑑登録証明書の交付請求
「認可地縁団体印鑑登録証明書交付申請書」により交付します。
手数料は1部300円 ※認可地縁団体の印鑑登録手続き後、発行できます。
- 印鑑登録できる人
認可地縁団体の届出義務
認可を受けた地縁団体は、告示事項や規約を変更する時は、市長へ届出する義務があります。
告示事項を変更する場合
任期満了による代表者の変更など、告示事項の変更がある場合は、変更の旨を証する書類を添えて「告示事項変更届出書」を提出してください。
告示事項
- 名称
- 規約に定める目的
- 区域、事務所
- 代表者の氏名及び住所
- 裁判所による代表者の職務執行の停止の有無並びに職務代行者の選任の有無(職務代行者が選任されている場合は、その氏名及び住所)
- 代理人の有無(代理人がある場合には、その氏名及び住所)
- 規約に解散の事由を定めたときはその事由
- 認可年月日
規約を変更する場合
規約を変更する場合には、「規約変更認可申請書」に、規約変更の内容及び理由を記載した書類、規約変更を総会で決議したことを証する書類を添えて、市長に認可を申請し、認可を受ける必要があります。