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河内長野市手話言語条例制定 広報紙掲載特集記事

印刷ページ表示 更新日:2021年6月1日更新
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河内長野市手話言語条例を制定(令和3年6月号掲載特集記事)

令和3年6月号広報紙 表紙

~手と手でこころを結ぶ~

 手話は言語であるとの認識にもとづき、「河内長野市手話言語条例」を制定しました。
 手話とろう者について理解を深め、手話が使いやすい環境を整えることで、ろう者と聞こえる人たちが互いに尊重し合い、支え合いながら生きていける地域社会の実現を目指します。

知ってる? 手話のこと

○手話の歴史
 手話は、手や指、体などの動きや顔の表情を使って視覚的に表現する言語です。ろう者(聴覚に障がいのある人のうち、手話をコミュニケーションの手段として用いる人)にとって、手話は生きるために必要不可欠なものです。
 しかし、かつて『手話の使用が認められていなかった時代がある』ということはあまり知られていません。日本では明治時代初期に、京都においてろう教育が本格的に始まりました。当時のろう教育は、手話、指文字、筆談で行われていました。
 大正時代に入り、相手の口の動きを読み取り、発声してコミュニケーションを取る「口話(こうわ)」が主流になります。ろう学校の生徒が聞こえる人たちの社会で生きていくためには、口話がより効果的という考えのもと取り入れられたものでした。こうして、ろう学校では手話の使用が事実上禁止されるなど、長きに渡り手話の使用が制約されることとなりました。

○手話=言語
 長い歳月を経て、手話の認識に対する機運が世界的に高まります。聴覚に障がいのある人たちが団結して手話を権利として主張し始め、平成18年の国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」において、『「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう』と定められました。『手話は言語である』ということが国際的に認められたのです。日本においても、平成23年に改正された「障害者基本法」に『言語(手話を含む)』と記され、初めて法的に位置付けられました。

○手話言語条例
 条約や法律で手話が言語であると位置付けられて以降、国内では、ろう者が暮らしやすい地域社会の構築および地域の実情に合った手話に関する施策を推進するため、全国の自治体において「手話言語条例」を制定する動きが広まっています。 本市においても、3月25日に手話言語条例を制定しました。手話が言語であるという認識のと、手話やろう者への理解と手話の広がりをもって、地域で支え合い、誰もが安心して共に生きることができる地域社会を目指します。

これを機に手話やろう者のことを知ってほしい(インタビュー記事)

河内長野市身体障害者福祉会 聴言部会 会長 川見さん
 
 私は生まれつき耳が聞こえません。幼稚園はろう学校に通っていましたが、小学校からは地元の小中学校に通い、高校、大学を卒業して、現在は一般企業に勤めています。小さい時に毎日発声発音練習をしたおかげで話すことはできますが、声やことばを覚えるには耳が重要な役割を果たしているため、ろう者の中には発音がうまくできかったり、発声が全くできない人がたくさんいます。
 ろう者にとっての言語は手話で、重要なコミュニケーション手段です。私はろう者ですが、手話を覚えたのは大学を卒業してからでした。ろう者だけのサッカーチームに入ったのがきっかけです。地元の小中学校に通い、高校時代もサッカー部で聞こえる人と一緒にプレーしていたこともあり、なかなか手話になじめませんでした。しかし、ろう者の仲間とプレーを通じて接していくなかで、ろう者にとって手話が重要だと分かり、そこから3年くらいかけて手話を習得しました。その後、手話サークルや聴言部会の活動にも関わるようになりました。
 ろう者であることで苦労したのは、社会人になってからと子育ての時でした。仕事でお客さまとの対面の商談時に細かい部分で聞き取りができず、要望に沿うことができなかったことがありました。そういったことを減らすために、商談の事前事後にメールで確認を繰り返し、お互いのズレをなくすようにしています。今の仕事を約20年続けてこられたのは、筆談や目を見て話す、など協力してくれる仕事仲間あってこそだと感じています。
 子育てでは、赤ちゃんの泣き声が分からず、いつの間にかソファから落ちていて気付かなかったことがありました。夜泣きも気付かないので補聴器をつけたまま寝ていました。今、中学2年生になった息子とは、手話や指文字を交えてコミュニケーションをとっています。電話も出てくれるので助かっています。ケンカする時もありますが、そこはギャーギャーとやりあっています(笑)。
 ろう者は手話が通じない時、相手の表情や口元を見てことばを読み取ろうとします。現在はコロナ禍でみなさんマスクをしていて、話しかけられているのかさえ分かりません。表情や口元が分かるようにしてほしい、筆談をしてほしいとお願いする毎日ですが、理解していただくのには時間がかかります。聞こえない人はこういうことが難しい、こんなことができない、こうしてくれたらコミュニケーションが取りやすい、と分かってくれるとうれしいです。
 手話言語条例の制定を機に、手話ができる人、手話やろう者のことを分かってくれる人を増やして未来につなげていくことが大事だと思っています。私たちは定期的にイベントを開催し、子どもに伝え、ろう者と聞こえる人が触れ合えるような場を作っていきたいと考えています。
※聴言部会とは?
 川見さんが会長を務める河内長野市身体障害者福祉会 聴言部会。聴覚障がい者同士の親睦を深め、生活向上、社会福祉を増進させるために設立された団体です。「ボランティアフェスティバル」や募金活動、手話サークルと一緒に一泊研修やクリスマス会を開催して聞こえる人と交流し手話を広める活動をしています。

知ってください、こんな時に困っています

 聴覚障がいは「見えない障がい」とも言われ、一見しただけでは聞こえる人との違いが分かりません。そのため、街中で困っていても手を差し伸べてもらいにくいという問題があります。聴覚に障がいを持つ人の多くが、「情報が入ってこない」「情報が伝えられない」そして「誤解される」などを悩みにあげています。

 ○電話に気付かない、出られない、かけられない
 ○背後からの呼びかけ(自転車のベルなど)に気付けない
 ○窓口(病院やレジなど)での意思疎通が図りにくい
 ○マスクをしていると表情や口元が隠れ(言っている内容が)わからない

私たちにできる、こんなこと

 聞こえる人がほんのちょっと想像力を働かせて積極的に行動することで、聞こえない人たちの不安を解消することができるかもしれません。 
 みんなが暮らしやすいまちにするため、私たちにできることから始めてみましょう。

 ○聞こえない人がいることを知ろう
  ・事故や病気などで聞こえなくなった
  ・生まれつき聞こえない
  ・話しかけたのに無視された…
    ⇒もしかして聞こえてなかったのかも

 ○困っている人に話しかける時は
  ・肩をたたくなど合図を送る
  ・視界に入ってから話かける
  ・口元を見せてゆっくり話す

 ○こんな意思疎通方法もあります
  ・筆談(紙がなければスマホのメモ機能などを使用)
  ・手話が使えなくても、ジェスチャーを交えると伝わりやすい
 

手話ってどんなん?

ぜひ覚えておきたい簡単な手話をご紹介します。やってみると楽しいですよ。
覚えておきたい簡単な手話

手話をはじめてみよう

○手話体験教室
  手話をやってみたいけど、講座は難しそう。そんな人のために体験教室の開催も予定しています。
  ※日時が決まり次第、本紙に掲載します。

○手話奉仕員養成講座
  手話を学び、聴覚に障がいのある人と会話し、共に活動や支援をすることを目標とする人のための講座です。
 ・対象 入門過程(手話を初めて学ぶ人が対象)と基礎課程(入門過程を終えた人が対象)があります。自己紹介、文法、手話のポイントなどを学びます。
 ・とき 土曜日(2時間/ 回)▷全45 回シリーズ
※今年度の募集は終了しています。来年度以降の応募をお待ちしています。

○手話ステップアップ講座
 手話の技術をより磨くための講座です。
 ・対象 手話奉仕員養成講座(入門過程、基礎課程とも)を終了した人を対象としています。手話技術の向上を目指し、より実践的な手話を学びます。
 ・とき 土曜日(2時間/ 回)▷ 10 回シリーズ
※日時が決まり次第、本紙に掲載します。


<手話サークル>
市内にある手話を学べるサークルを紹介します。仲間と楽しみながら手話を覚えることができます。一緒に手話について学んでみませんか。

○手話サークル「てのひら」
 毎週金曜日午後1時30 分~3時30 分、ボランティアセンター(イズミヤ4階)で、手話の学習だけでなく、ろう者との交流・情報交換など多岐に渡って活動しています。
問合せ:社会福祉協議会(Tel 65-0133)

○手話サークル「さくらんぼ」
 毎月水曜日午後7時~9時、昼間は活動しづらい人のために、夜間に活動しています。手話を学ぶことを通じてろう者と一緒に様々な活動をしています。
問合せ:社会福祉協議会(Tel 65-0133)

○かわちながの手話三部会
 聴言部会と手話サークル(てのひら・さくらんぼ)で構成。クリスマス会などのイベント開催、学校での福祉学習への派遣、聴覚障がい者施設建設の募金活動などを行っています。

まず一歩踏み出してみませんか(インタビュー記事)

手話サークル「さくらんぼ」の手話通訳者  礒岡さん

 小学生の時、ガールスカウトで手話教室を受講し、ろう者と話してみたらほとんど話せず、悔しい思いをしたことが手話を学ぶきっかけでした。手話で話せるようになりたいと思い、市主催の手話講座を受講して勉強しました。でも実際に手話で話せるようになったのは、手話サークルに入会してからです。そこでたくさんのろう者と直接出合うことで、少しずつ話せるようになりました。現在は、病院や学校などで通訳活動をしています。
 手話との出会いは、私の人生を大きく変えてくれました。いろんな国の言葉と同じで、手話も言語です。他の言語で話すことと同じように手話で話すことによって、自分の知らない世界を覗くことができ、自分の世界も広がりました。話しことばに方言があるように、手話にも地域によって多少の違いがあります。いろんな地域のろう者と、その手話に出会うこともとてもおもしろいです。また、社会の変化により、新しくできた言葉にも新しい手話が作られます。それを覚えてろう者に伝えていくことも、通訳者の役割の一つです。
 ろう者は、耳が聞こえないこと以外は聞こえる人と変わりありません。ただ、聞こえないことによる情報不足により、知らず知らずのうちに失礼な態度をとったり、無視したと思われたりと誤解を受けることも多いのです。こちらからあいさつをしても反応がないなと感じたら、「もしかしてこの人は聞こえないのかな?」と想像してみてください。
 この魅力ある言語で一緒におしゃべりしませんか。手話は手の動きだけでなく、顔の表情もとても大切なので、自然と表情も豊かになります。一歩踏み出せば、きっと楽しさが分かると思います。市では講座を開催していますので、手話に少しでも興味のある方はぜひ参加してみてください。手話サークルでも手話の学習会、交流会などの活動をしていますので、いつでも見学に来てください。お待ちしています。
 

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