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学校など決まった場所で、担任やクラスメートと話そうとしません。幼稚園でも話しませんでした。どうしたらよいのでしょうか?
答え
家ではぺらぺらと話しても、学校や外では口をつぐんでしまうという、こどもの姿のギャップに家族は「どうして?」と、とても戸惑われたと思います。
話せる言葉を持っていながら場や相手によって、話せたり、話せなかったり(話したり、話さなかったり)する状態を、『場面緘黙(かんもく)』または『選択性緘黙』と言います。
多くのこどもは、幼稚園や学校に行って、クラスメートや担任と話をしないことから『緘黙』に気付かれます。
なぜ、十分言葉を持っているにも関わらず、口をつぐんでしまうのでしょうか。
症状がおこるきっかけは、実に様々です。
こどもにとって否定的な社会的体験(叱られる、ケガなどの怖い体験など)がある場合もあります。
こどもの特徴としては
- 対人場面で緊張が高い
- 主体性をもって行動することが出来にくい
- こだわりが強く融通がきかないという面を持っている
ことが多いようです。
心の奥深い部分で周囲に恐れを持ち、堅い沈黙の壁で防備しているこどもが、その壁を自ら崩して自由に動いていくことは、決して容易なことではありません。こどもが安心してもよいと思えるように、丁寧な配慮が必要です。家族は、こどもと一緒に過ごす時間を積極的に持ち楽しんで下さい。体験の幅が拡がることも大切です。
また、学校の先生と情報交換し、話し合いを行って下さい。家族が先生とこどもをつなぐことで、こどもが先生や学校を信頼していきます。遊びなどリラックスした場面で、言葉にこだわらず、表情やジェスチャーといった様々なコミュニケーションを用い、周囲との関わりが拡がり深まっていくように促します。
言葉を発するには、時間がかかる場合もしばしばあります。関わる周囲も、こども自身も焦りを覚えてしまいがちです。家族、学校、相談機関が歩調をあわせて環境を作り、見守っていくことが必要であると考えます。