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冬芽コレクション
冬芽コレクション
樹木は、葉っぱを落とす前には、もう春の準備をしています。
冬の森をゆっくり散策しながら、間近で枝先を手にとって観てみましょう。
冬芽は個性的で、樹木の名前を知ることができるだけでなく、葉痕(葉の落ちた跡)や維管束痕(養分や水分の通る管の跡)の形はまるで顔のように見えます。
小さな芽は、寒さに耐える工夫をしながら春を待ち、やがて葉や花に生長するのです。
サワグルミの頂芽
サワグルミの葉痕
「ヤマウルシ」はハイキングコースなどで幼木が多くみられます。冬芽は裸芽で赤茶色の毛が密集しています。頂芽は髪の毛で、小さな側芽は鼻で、葉痕は口のようです。森の中にはこんな小さな妖精さんがたくさんいるのですよ!目が届く枝先を探してみましょう。
カシワバアジサイ
タマアジサイ
「アジサイ」の葉痕です。
アジサイ属の葉痕は維管束痕が3つあるので、良く似た顔をしています。
葉が対生しているので顔(葉痕)が背中合わせに2つあります。
ホオノキ
トチノキ
冬の「ホオノキ」です。日本で一番大きな頂芽と言われ、特徴のある枝先は冬でも樹種が確認できます。岩湧の森にも多く自生していて、5月には芳香のある大きくて綺麗な花を四季彩館のテラスから見ることが出来ます。冬芽の中には大きな葉が折りたたまれて春を待っているのです。
シラキ
アワブキ
「ムラサキシキブ」の冬芽。
「ヤブムラサキ」と共に、森に多く自生しています。冬でも紫の実が残っているので探してみて下さい。どちらも枝の細い低木で、ヤブムラサキの実のほうが大粒で萼片が目立ち毛も多い点で見分けられます。
裸芽で2枚の葉が向き合い、葉痕には1つの維管束痕があって、出っ張っています。
ウリハダカエデ
ノリウツギ
「ゴンズイ」の冬芽です。
冬でも木に赤い実が残っていることがあります。
普通カエデやユキノシタの仲間は対生するので、冬芽の付き方も樹種を知る一つの手がかりになります。
タラノキ
ハリギリ
「カラスザンショウ」の葉痕はハート型で維管束痕はC型をしています。若い枝は緑色をしていてトゲがいっぱい。枝には葉痕が目立ち、表情を楽しむことができます。大きい葉痕なのは大きな奇数羽状複葉が付いていたからで、木の周辺には、長い葉柄が落ちています。
コブシの花芽
「ウリノキ」の冬芽はまだ葉柄を付けています。冬芽を取り囲んだ葉柄が冬芽を守っています。良く見ると中の芽が透けて見えていますよ!これを「葉柄内芽」と呼びます。
コブシやモクレンの花芽は長い毛に覆われています。
コナラやサクラなどは芽鱗がうろこ状に重なって冬を過ごします。
冬芽は寒さに耐える工夫をしながら春を待っています。
クロモジ
カナクギノキ
「アブラチャン」の葉芽(中央)と花芽。
クスノキ科のこれらの木には花芽もついていて、早春に小さな黄色い花を咲かせます。
「ダンコウバイ」の花芽には葉柄がなく丸い形をしています。
キリ
タカノツメ
「ネジキ」坊やが「サルトリイバラ」に捕まった!
冬の森にいる妖精たちに会いに来てください。