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市指定 旧三日市交番

印刷ページ表示 更新日:2018年10月11日更新
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区分(有形文化財)種別(建造物)指定番号(建11)

市指定文化財 旧三日市交番

Kyuu-mikkaichi-kouban 一件

所在地 河内長野市三日市町
所有者 河内長野市
時代 昭和
指定年月日 平成22年10月7日

市指定文化財 旧三日市交番の画像

 旧三日市交番は、昭和27年に建築された府内に残る数少ない木造建築の交番です。また、この交番は、執務と住居を兼ね備えた併用住宅の形をとる、かつての駐在所を今に伝える貴重な建物です。

 旧三日市交番は、江戸時代において高野街道の宿場町として栄えた三日市町に所在し、南北に通るかつての街道に西面している。
 建築年代に関しては、棟札によって昭和27年(1952)に上棟が行なわれた事が明らかとなっている。地元住民からは大正10年(1921)に建築されたという証言を得ているが、これは前身建物を指すと考えられる。なお、床下部分の土台には他の部分の土台とは仕上がりの状態の異なる部材が使用されており、室内から見ることのできない床下等には前身建物の部材が転用されている可能性が指摘できる。
 規模・外観に関しては、間口2間、奥行6間で一部に2階をもつ木造2階建である。屋根は、1階部分が寄棟造、2階部分が半切妻造、日本瓦葺(桟瓦葺)で、外壁は下見板張り大壁構造で、通りに面する西北面はピンク色のペンキが塗られている。外観は全体的に洋風に仕上げられている。
 内部は手前に交番執務室があり床はモルタル塗りの土間となっている。この奥には北側に半間の土間廊下と、南側に東西に2部屋が並ぶ。西側の部屋は板敷き(4.05平方メートル)、東側は4畳半の畳敷きで階段と押入が付属している。土間廊下の奥には間口1間の土間が続き、台所としている。台所の南側は浴室(1.75平方メートル)と浴室前室(2.04平方メートル)、便所(1.96平方メートル)となっている。2階は6畳の畳敷きとなっており押入が付属している。執務室の壁は大壁ペンキ塗りでその他は真壁漆喰塗りとなっている。天井は、執務室がボード張り、その他は竿縁天井となっている。
軸組は伝統工法ではなくいわゆる在来工法で、基礎コンクリートの上に土台を伏せボルトで緊結している。壁には筋違が入り、火打梁が桁にボルトで緊結されている。小屋組は和小屋である。
 執務室と台所を繋いでいる土間廊下は後年の改造によるもので、4畳半の部屋は当初間口2間で6畳の畳敷きであった。またその西側の部屋の床は後設で、もとは土間である。浴室前室とその西側の押入部分はもともと板敷きの一室で、浴室はその部屋に付加する元押入であった。執務室の壁および天井も後年の改造で、当初の壁および天井が現状の仕上材の下に残存している。当初壁は大壁木ずり漆喰塗り腰板張り、天井はラワン合板を使用した格天井である。その他の改造は少なく、当初の材料をよく伝える。なお、改修は昭和43年(1963)7月の駐在所から派出所への用途変更に伴うものと推察でき、用途変更に先立つ、昭和42年には付近にある建物が臨時交番として借り上げられている。これらの事からは昭和42年から昭和43年の間に改修工事が行なわれたものと推察できる。
 以上のように旧三日市交番は、執務と住居を兼ねた併用住宅という形態をとるかつての駐在所の形態を今日に伝える貴重な遺構であり、かつ大阪府下にのこる唯一の木造交番建築である。加えて、外観は、かつての宿場町の雰囲気を残す周囲の景観によく馴染んでおり、慎ましいランドマークとしての役割を果たしている。