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市指定 絹本著色 涅槃図

印刷ページ表示 更新日:2019年4月17日更新
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区分(有形文化財)種別(絵画)指定番号(絵10)

市指定文化財 絹本著色 涅槃図

Kenpon-tyakusyoku nehanzu
縦189.5cm 横82cm 一鋪

所在地 河内長野市高向
所有者 高向地蔵講
時代 室町
指定年月日 平成14年3月29日
寄託先 河内長野市立図書館

市指定文化財 絹本著色 涅槃図の画像

本図は旧地福寺の什物の一つとして伝えられているもので、現在は市立図書館に寄託されています(閲覧には所有者の許可が必要)。
右手を手枕に涅槃に入った釈迦如来を中心として、画面上方は輝きを失った太陽と暗い空、右上空から雲に乗って涅槃の場に向かう悲しみの母・摩耶夫人と随臣たち。そして涅槃の法台の周囲には、これも色を失った6本の沙羅双樹と、涅槃のために悲しさの極みにある諸菩薩・弟子・鬼神など、更に下方前方にはやはり悲しみ動物や昆虫など23種24匹が描かれている。
中央の涅槃の釈迦如来は静寂に描かれているが、諸菩薩・弟子・鬼神は、数は多くはないものの大きくリアルに描かれている。

一般に「涅槃図」は、ある距離をもって拝するように、清寂に荘重に描かれているのが普通であるが、本図の場合は、すこし趣を異にして表現されている。
仏画を描く場合に用いられる鉄線描風の線とは異なり、筆意を込めた筆使いには勢いがあり、描かれる対象はリアルに描かれ、それぞれの悲しみの表現も激しさを持って迫ってくる。
その上、色彩も涅槃の描写にふさわしく緑色を基調として深くおさえているのは見事である。
画風は大和絵風の影響も見られるが、宋元風の影響が強い。このような「涅槃図」で室町時代の作例は今のところ報告例はなく、極めて貴重な作品といえる。