○河内長野市男女共同参画推進条例
平成17年9月29日
条例第23号
(前文)
河内長野市では、人権尊重に基づく男女の自立と男女共同参画社会の形成に向けて様々な取組を進めてきた。
しかしながら、男女の自由な活動の選択に影響を及ぼす性別による固定的な役割分担等やそれに基づく社会の制度又は慣行は今なお残り、また、近年においては女性に対する暴力も顕在化しており、課題の解決に向けた一層の取組が求められている。
一方、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等社会経済情勢が大きく変化する中にあって、一人ひとりの個性と能力が十分発揮できる豊かで活力ある河内長野市を築くには、男女の人権が尊重され、社会のあらゆる活動に参画できる機会の平等が確保されるなど男女共同参画社会の実現が緊急かつ重要な課題であり、その取組は市、市民及び事業者が一体となって推進する必要がある。
ここに本市は男女共同参画の推進を主要な政策と位置付け、その推進に関し、基本理念並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにし、相互の連携協力の下に男女共同参画社会を実現することを目的としてこの条例を制定し、もって人々の多様な個性と活力にあふれた河内長野市を目指すものである。
(目的)
第1条 この条例は、本市における男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民(本市の区域内に通勤又は通学する者を含む。以下同じ。)及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本的な事項を定めることにより、それぞれの連携及び協力の下に当該施策を総合的かつ計画的に実施し、もって男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野(以下「社会のあらゆる分野」という。)の活動に参画する機会が確保され、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野の活動に参画する機会における男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対しその機会を積極的に提供することをいう。
(3) セクシュアル・ハラスメント 職場、学校、地域などの社会的関係において、相手の意に反した性的な言動をすることにより相手の就業環境や学習環境等を害し、又は性的な言動を受けた者の対応によりその者に不利益を与えることをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次の各号に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、女性に対する暴力が根絶されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の自由な選択に対して、できる限り影響を及ぼすことのないよう配慮されること。
(3) 男女が社会の対等な構成員として、市における政策並びに民間の団体における方針の立案及び決定に、共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活において、家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、職場、学校、地域その他の活動との両立ができるようになされること。
(5) 男女が互いの身体的特徴及び心身の変化について理解を深め、妊娠、出産その他の性と生殖に関する事柄について個人の尊厳が重んじられ、生涯にわたり健康な生活を営むことができるよう配慮されること。
(6) 国際社会の取組を考慮して行われること。
(7) 前各号の基本理念の理解を深めるよう、社会のあらゆる分野において、生涯にわたる教育、学習の機会が確保されるよう配慮されること。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進を主要な政策として位置付け、前条に定める基本理念に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「男女共同参画施策」という。)を総合的に策定し、実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画を推進するため、あらゆる施策の策定と実施において、男女共同参画社会の実現に配慮しなければならない。
3 市は、男女共同参画の推進に当たり、国及び他の地方公共団体と連携を図るとともに、市民及び事業者と協働するものとする。
4 市は、自ら率先して男女共同参画を推進しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念に基づき、社会のあらゆる分野において積極的に男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に基づき、事業活動を行うに当たり、積極的に男女共同参画の推進に努めるとともに、男女が職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立することができる環境の整備に努めるものとする。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めるものとする。
(性別による人権侵害の禁止)
第7条 何人も、社会のあらゆる分野において、性別による人権侵害や差別的取扱いを行ってはならない。
2 何人も、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、配偶者等に対する暴力(暴行その他の心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担若しくは男女間における暴力的行為を助長する表現又は連想させる表現など、男女共同参画の推進を阻害するおそれがある表現を行わないよう努めるものとする。
(男女共同参画計画)
第9条 市長は、男女共同参画施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を定めるものとする。
2 市長は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、あらかじめ第18条に規定する河内長野市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、市民及び事業者の意見を反映することができるよう、必要な措置を講じるものとする。
3 市長は、男女共同参画計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
5 市長は、毎年度、男女共同参画計画の実施状況等を公表するものとする。
(広報啓発活動)
第10条 市は、男女共同参画について市民及び事業者の理解を深めるよう、広報啓発活動の充実を図らなければならない。
(教育及び学習の振興)
第11条 市は、学校教育その他の教育及び学習の場において、男女共同参画について理解を深めるよう、その振興に必要な施策を行わなければならない。
(調査研究)
第12条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼす要因についての調査研究その他の男女共同参画施策の策定に必要な調査研究を行うものとする。
(市民等の活動に対する支援)
第13条 市は、市民及び事業者が男女共同参画の推進に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講じるものとする。
(積極的改善措置)
第14条 市は、社会のあらゆる分野の活動において男女間に参画する機会の格差が生じている場合、市民及び事業者と協力し、積極的改善措置が講じられるよう努めるものとする。
(苦情等及び相談への対応)
第15条 市民及び事業者は、市が実施する男女共同参画施策及び男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情その他の意見(以下「苦情等」という。)がある場合、市長にその旨を申し出ることができるものとする。
2 市長は、苦情等の申し出に対し、男女共同参画社会の実現に資するように適切に対応し、処理するものとする。この場合において、市長は、苦情等の処理を行うに当たり必要があると認めるときは、第18条に規定する河内長野市男女共同参画審議会の意見を聴くことができるものとする。
3 市民は、男女共同参画の推進を阻害する要因によって男女の人権が侵害された場合、市長に対し相談の申し出をすることができるものとする。この場合において、市長は、相談の申し出に対し関係機関と連携し、適切な対応に努めるものとする。
(推進体制の整備)
第16条 市は、市民及び事業者の協力の下に、男女共同参画施策を総合的に推進するため、必要な体制整備に努めるものとする。
(拠点機能)
第17条 市は、男女共同参画の推進に当たって、男女共同参画センターを拠点として各種事業を行い、市民活動との連携を図るものとする。
(男女共同参画審議会)
第18条 男女共同参画の推進を図るため、河内長野市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、次に掲げる事項を所掌する。
(2) 苦情等の申し出について、第15条第2項の規定による市長の求めに応じて意見を述べること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長の求めに応じて男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議し、意見を述べること。
3 審議会は、委員15人以内で組織する。この場合において、男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。
4 委員は、学識経験者、公募に応じた者その他の市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成18年1月1日から施行する。