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2015年度に紹介した絵本

印刷ページ表示 更新日:2018年10月11日更新
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4月号

春です。何かと心弾む季節ですね。

今月はそんな季節にぴったりの美しい蝶の絵本を紹介します。

 

 

1 『ちょうちょはやくこないかな』甲斐信枝 さく(福音館書店)1997.1

ちょうを待つ小さなオオイヌノフグリが主役の絵本です。

写実的に描かれた植物でありながら、すっと気持ちを寄り添わせて読むことができます。見ているうちになぜかオオイヌノフグリの花に目が見え、顔が見えてきて。

ちょうの名前がいくつわかりますか?親子で細かな描写まで楽しみたい絵本です。
(2歳くらい~)

ちょうちょはやくこないかなの画像

 

 

2 『チョウのはなし かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち』ダイアナ・アストン 文 シルビア・ロング 絵 千葉茂樹 訳(ほるぷ出版)2013.3

博学的なチョウの絵がうっとりするほど美しい一冊。

チョウの生態について様々な角度から紹介する図鑑的要素の強い絵本で、子どもから大人まで知識も興味も刺激されます。きっと今まで以上にチョウに魅了されることでしょう。

とりわけ、チョウのファッションショーは必見です。

シリーズに『たまごのはなし』『たねのはなし』『いしのはなし』があります。あわせてどうぞ。
(小学校3・4年生くらい~)

チョウのはなしの画像

 

 

5月号

 ゴールデンウィークをいかがお過ごしですか。こどもの日は、子どものこと、子育てのことをいろいろと考える日でもあります。

 大きな意味では絵本はみな子どもの成長に関わっていると思いますが、今月は子どもの心の成長や自立そのものがテーマになっている絵本を紹介します。

 

 

1 『ラチとらいおん』マレーク・ベロニカ ぶん・え とくながやすもと やく(福音館書店)1965.7

 世界中で一番弱虫な男の子ラチラチは犬を見ると逃げ出します。暗い部屋には入れません。友だちも怖い存在です。そんなラチを強くしようと、小さな赤いライオンがやってきます。

 絵はシンプルで色数も少ない地味な絵本です。けれど、この本のおかげで、一人で寝られるようになった子、一人でおつかいに行けるようになった子がたくさんいます。

 空想と現実をつなぐ赤いライオン。一緒にライオン体操をして、あなたも強くなってみませんか?
(4・5歳くらい~)

ラチとらいおんの画像

 

 

2 『ペレのあたらしいふく』エルサ・ベスコフ さく・え おのでらゆりこ やく(福音館書店)1976.2

 ペレは小羊を一匹持っています。ペレは自らの労働を代価に羊の毛を梳いてもらい、糸に紡いでもらい、染め粉を手に入れ、織ってもらい、素敵な服に仕立ててもらいます。

 服が出来るまでの過程と同時に、ペレと大人達の関係性、ペレが子どもらしい一生懸命さで働く様子、農村の素朴な暮らしぶりが優しく写実的な絵で丁寧に描かれた名作です。

 最終頁は、新しい服を着たペレを優しく見守る大人達心がほっこり温まります。
(5・6歳くらい~)

ペレのあたらしいふくの画像

 

 

6月号

 雨の季節です。雨だからといって家にこもってないで、外に出かけてみませんか。雨だから会えた生き物、雨の日こそ輝いている生き物にきっと出会えますよ。

今回はそんな生き物の一つ「かえる」をテーマにお届けします。

 

 

1 『かようびのよる』デヴィッド・ウィーズナー 作・絵 当麻ゆか 訳(徳間書店)2000.5

 火曜日の夜、空を埋め尽くすほどのかえる達が蓮の葉に乗って町中を飛び交う不思議な絵本です。文はほとんどなく、時間の経過を示すのみ。絵本とは「絵を読む本」なのだと再認識させてくれます。

 奇想天外で衝撃的なストーリーでありながら、実際に起きた事件ではないかと錯覚させるほど緻密に描かれた絵は遊び心も満載で、読者を飽きさせません。次の火曜日の夜には、あなたもきっと空を見ることでしょう。

ところで、絵本の中に作者が登場しています。どこにいるかわかりますか?
(小学校3・4年生くらい~)

 

 

 

2 『ずら~りカエル ならべてみると』松橋利光 しゃしん 高岡昌江 ぶん(福音館書店)1976.2

 カエル好きはより好きに、嫌いな人も好きになる?図鑑絵本です。

 図鑑的な解説は少ないのですが、紹介の仕方がユニークで、幼い子の入門書にはぴったり。日本に住む43種類のカエル達を、まるで記念写真を撮るように一同に集めたページは圧巻です。

 私のオススメはエゾアカガエル。あなたはどのカエルが好きですか?
(4・5歳くらい~)

ずらーりカエルの画像

 

 

7月号

 暑い夏がやってきました。暑い季節になると、水の中を涼しげに泳ぐ魚を見に水族館へ行きたくなりませんか?

 今月は水族館へ行った気分になれる絵本の紹介です。

 

 

1 『じんべえざめ』新宮晋(文化出版局)2013.6

 小さな絵本の中に巨大なじんべえざめを感じる絵本です。

 じんべえざめの全身を、クローズアップした部分を、線描のみでシンプルに描いた絵が大迫力で迫ってきます。デジタル処理された海の青がことのほか美しく、吸い込まれそうな気分になります。絵に添えられた日本語と英語の短い文章も印象的です。

 読み終わったらもう一度、少し離れて絵を見てください。躍動感あるじんべえざめの泳ぎをもっと感じられることでしょう。
(小学校3・4年生くらい~)

 

 

 

2 『さかなのかお』え ともながたろ ぶん なかのひろみ・まつざわせいじ(アリス館)200.11

 魚好きの人達が集結して作った絵本と図鑑の中間的な存在で、魚への愛情が本の隅々にまであふれる作品です。

 ややデフォルメされて丸みを帯びた体型の魚たちは愛らしくそれでいて正確な色形を表現しており、魚そのものをしっかり見せる仕掛けがいっぱい。魚の顔による“フクわらい”のオマケまで付いています。

 この本はシリーズ「絵本 すいぞくかん」の1巻目。『さかなのかたち』『さかなのじかん』もあわせてどうぞ。巻末に小さな字で書かれた作者達の紹介も必読です!
(小学校1・2年生くらい~)

さかなのかおの画像

 

 

8月号

 8月は終戦記念日や原爆の日があって、新聞で特集が組まれたり、テレビでドラマやドキュメンタリーが放送されたりして戦争のことを度々意識する月ですね。

 戦争をテーマにする絵本もたくさんあります。今回はその中から、あからさまな戦火の表現はなくても戦争について深く考えさせる絵本2冊の紹介です。

 

 

1 『おとうさんのちず』ユリ・シュルヴィッツ 作 さくまゆみこ 訳 (あすなろ書房)2009年5月30日

 作者が4、5歳の頃、トルキスタンでの暮らしを描いた自伝的絵本です。

 戦争で難民となった一家の父は、ある日パンの代わりに一枚の地図を買ってきます。空腹に不満を爆発させる少年でしたが。

 難民の苦しい生活と想像の国々が対比的に描かれ、想像力が生きる糧となっていることを象徴的に表現する秀作です。作中で少年が呪文のように唱える言葉をどうぞ声に出して読んでみてください。あなたも遠い国へ飛んでいけるかもしれませんよ。
(小学校3・4年生くらい~)

 

 

 

2 『せかいいちうつくしいぼくの村』小林豊 (ポプラ社)1995.12

 アフガニスタンのパグマン村に住む少年ヤモの平凡で豊かな暮らしを描いた絵本です。

 日本にいるとアフガニスタンは見知らぬ遠い国で内線のイメージばかりが強いかもしれません。けれど、絵本を通して知るアフガニスタンは花や果物があふれ、普通の暮らしが営まれています。にぎやかなバザール、食べ物のにおい、家族の小さな幸せ。だからこそ戦争の残酷さが胸に迫ります。最後のページは心してお読みください。
(小学校3・4年生くらい~)

せかいいちうつくしいぼくの村の画像

 

 

9月号

 9月に入って朝晩はすっかり涼しくなりましたね。けれど、日中は日差しが強くてまだまだ帽子や日傘が欠かせません。

 今月は帽子をテーマに2冊の絵本をお届けします。

 

 

1 『おさるとぼうしうり』エズフィール・スロボドキーナ さく・え まつおかきょうこ やく (福音館書店)1970年2月25日

  あるところに、帽子を頭の上にたくさん載せて売り歩く帽子売りがいました。帽子が一つも売れなかったある日、疲れて昼寝をしていると木の上のおさるというおさるの頭に色とりどりの帽子が!?

 好奇心旺盛でいたずら好き、まねっこ大好きなおさるたちの行動は子どもそのもの。繰り返しと朗らかな絵が帽子売りとおさるのやりとりをいっそう楽しいものにしてくれます。おさるの習性を生かした結末も愉快です。

 さて、どうしたら帽子を取りもどせるのでしょう?
(4・5歳くらい~)

おさるとぼうしうりの画像

 

 

2 『イエペはぼうしがだいすき』石亀泰郎 (文化出版局)1978年12月1日

 デンマークに住む9歳の男の子イエペの日常を生き生きと撮しとった写真絵本です。

 イエペは100個の帽子を持っています。中でもお気に入りは茶色の帽子。散歩をするときも、保育園に行くときも、お弁当を食べるときも、絵本を読んでもらうときも、茶色の帽子をかぶっています。イエペの愛らしい表情をお楽しみください。理屈ではなく、その物が好きで好きでたまらない子どものこだわりをおおらかに見守る大人たちにも心が温かくなりますよ。

 続編『イエペさんぽにいく』もあわせてどうぞ。
(4・5歳くらい~)

 

 

 

10月号

 運動会、遠足、お月見行事が目白押しの秋がやってきました。準備はいいかな?天気予報はどうでしょう?

 何かと空模様が気になるこの季節に、空をテーマにした絵本を紹介します。きっと空を見上げたくなりますよ!

 

 

1 『くものかたち』フランソワ・ダヴィッド 文 マルク・ソラル 写真 わかぎえふ 訳(ブロンズ新社)2000年3月25日

 くもの造型を様々なものにたとえるのは、多くの人が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。そんな世界中の人々の想像を形にしたようなくもの写真絵本です。

 表紙のクマ、裏表紙のハートをはじめ、びっくりするような〈くものかたち〉が次々と現れます。写真は手元で見るより、少し離れた方が形をとらえやすいものも。短い詩的な言葉がいっそう想像力を膨らませます。

 空の色に合わせた左頁の青のグラデーションも美しく、空とくもを満喫できる絵本です。
(5・6歳くらい~)

くものかたちの画像

 

 

2 『空の絵本』作・長田弘 絵・荒井良二 (講談社)2011年10月10日

 雨が降り、やがて遠ざかっていく。灰色の空は青く澄み、金色の光が満ちて、美しい夕方を迎える。白い月、一番星、星々のきらめきありふれた一日の空模様を「だんだん」と繰り返す印象的な言葉で紡いだ絵本です。

 見開きに描かれたかわいい楽器や動物たちをページの中に潜ませる画家の遊び心もたっぷり。それでいて画集のように美しい絵が平凡な日常の幸せをしみじみと感じさせます。ぜひ音読してみてください。穏やかな文章がきっと心を落ち着かせてくれますよ。

 長田・荒井両氏による『森の絵本』もあわせてどうぞ。
(小学校5・6年生くらい~)

 

 

 

11月号

 11月1日は古典の日です。平成24年、国民が古典に親しみ、心豊かな生活や文化的な社会を営むことを目的に制定されました。

 でも、古典って難しそうという方のために、古典を題材としたステキな絵本を紹介します。

 

 

1 『春のわかれ』槇佐知子 文 赤羽末吉 絵(偕成社)1979.10

 今は昔、村上帝の御代のこと、小一条の左大臣が家宝とする硯を召使いの青年が割ってしまいます。青年を気の毒に思って自らが罪をかぶった若君は、そのために父である大臣から憎み疎まれ、まもなく嘆きのうちに死を迎え。

 『今昔物語集』の一篇「破硯」を絵本化したこの作品は、人間の優しさ、弱さ、愚かさや親の慈しみ、後悔など現代に通じる人間の性を哀しくも美しく描き出します。添えられた赤羽末吉の絵も秀逸です。

 作者の槇佐知子は古典文学への造詣が深く、『今昔物語集』をもとに『シャエの王女』(偕成社)という作品も書いています。読後に考えさせられることが多い両作品『今昔物語集』を読んでみたいと思う方も多いことでしょう。
(中学生くらい~)

春のわかれの画像

 

 

2 『はらのなかのはらっぱで』アーサー・ビナード 文 長野仁 監修(フレーベル館)2006年11月1日

 織田信長が活躍していた時代の医学書『針聞書(はりききがき)』を絵本化した作品です。

 当時は人の体の中には虫が棲んでいて、この虫たちが様々な病気を引き起こすと考えられていました。『針聞書』には63の腹の虫の棲みつく場所や特徴、治療法が虫の図とともに解説されています。絵本では『針聞書』から抜け出した肺虫が、人の体の中に入って出てくるまでに18種の虫たちを紹介しています。文章はウイットに富み、登場する虫たちも愛らしいものばかりです。

 この絵本は九州国立博物館が企画・出版した〈きゅーはくの絵本〉シリーズの一冊。文化財をいかに鑑賞するかの易しい手引き書であると同時に、身近なものにするための画期的な絵本シリーズになっています。九州を旅する方はぜひ本物を見に行ってください。『針聞書』の公開は年に一度、啓蟄の日から2週間です。
(小学校5・6年生くらい~)

はらのなかのはらっぱでの画像

 

 

12月号

 今年も忙しい師走がやってきました。この時期になると、なぜかひったくりや強盗といった物騒なニュースが多くなりますね。

 けれど、絵本の世界には会ってみたくなるようなドロボウがいっぱい!今月はそんな愛すべきドロボウ達の絵本をお届けします。

 

 

1 『すてきな三にんぐみ』トミー=アンゲラー 作 いまえよしとも 訳(偕成社)1969.12

 世界中の子ども達に圧倒的な人気の絵本です。

 濃い青い闇の中、白眼をぎょろつかせる三人組の黒いシルエットの表紙は、それだけで読む人の心をつかみます。シンプルな絵ですが、赤・黄・緑が色鮮やかに用いられて印象的。文字もタイポスという特殊な活字で、作者のデザイン的なこだわりを感じます。

 そしてなんと言っても、恐ろしい泥棒が孤児を救うという価値観が逆転するストーリーが魅力です。

 トミー=アンゲラーはたくさんの絵本を描いていますが、同じように価値観の逆転がテーマになっている『ゼラルダと人喰い鬼』もオススメです。
(5歳くらい~)

すてきな三にんぐみの画像

 

 

2 『どろぼうがっこう』かこさとし 作(偕成社)1973.3

  どろぼうも学校に行くの?くまさかとらえもん校長先生と恐ろしげな顔なのに“かわいい生徒達”の大真面目なのにまぬけなストーリーが子ども達を夢中にさせる絵本です。

 ある日、夜の遠足に出かけたくまさか先生と生徒達、盗みに入った金持ち村の一番大きなお屋敷は。

 やや古風な絵ですが、歌舞伎風の粋な構成と勢いのある筆致も魅力です。40年ぶりに続編『どろぼうがっこうぜんいんだつごく』『どろぼうがっこうだいうんどうかい』も出版されました。
(小学校1年生くらい~)

どろぼうがっこうの画像

 

 

1月号

 あけましておめでとうございます。新しい年の始まりは、夢や希望にワクワクするものですね。皆さんにとってよき一年となりますように。今年も千代田公民館をよろしくお願いします。

 今月は初夢にちなんで「夢」をテーマに2冊の絵本をお届けします。

 

 

1 『フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし』レオ=レオニ 作 谷川俊太郎 訳(好学社)1969

 フレデリックと4匹ののねずみの話。4匹ののねずみは冬に備えてせっせと働きますが、フレデリックは動きません。やがて冬になり、何もなくなったとき。

 物質的なものと精神的なものをうまく対比させ、衣食住が満たされるだけでは生きていけないことを小さなのねずみがそっと教えてくれます。「アリとキリギリス」の寓話とは正反対の結末は、互いの個性を尊重し合う心温まるもの。目をつぶって想像するのねずみ達の愛らしさは格別です!フレデリックの言葉は4匹ののねずみ達同様、私たちにも夢とエネルギーを与えてくれることでしょう。
(5、6歳くらい~)

フレデリックの画像

 

 

2 『エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする』エリナー・ファージョン 作 シャーロット・ヴォーク 絵(岩波書店)2004年6月23日

 妖精になわとびの秘技を教わった女の子、エルシー・ピドックの夢の中の夢のような話。

 エルシー・ピドックは生まれながらになわとびが上手でした。その評判はケーバーン山に棲む妖精達にも届き、エルシー・ピドックはなわとびの師匠アンディ・スパンディからなわとびの秘術を習うことになります。高とび、するりとび、羽根のような軽とび、次々と紹介されるワクワクすること間違いなし!特に、109歳になったエルシー・ピドックが欲張りで意地悪な領主を打ち負かす場面は圧巻です。

 夢や妖精の世界を表現するのにぴったりの柔らかな踊るような線と抑えた色合いの絵もあわせてお楽しみくだい。
(小学校5、6年生くらい~)

エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをするの画像

 

 

2月号

 一年で一番寒い季節になりました。家の中に引きこもってばかりいませんか?

 今月は身も心も温かくなる絵本を紹介します。

 

 

1 『きつね森の山男』馬場のぼる(こぐま社)1974年7月10日

 きつね森にやってきた山男はキツネ達とさむがりんぼの殿様の戦争に巻き込まれます。キツネ軍の要塞を築いたり、兵隊に化ける訓練をしたりしますが。

 マイペースな山男にキツネの毛皮の夢を抱く殿様もいつしか改心させられるほのぼのとしたストーリーが魅力の絵本です。読めば必ずふろふき大根が食べたくなりますよ!
(5,6歳くらい~)

きつね森の山男の画像

 

 

2 『せかいいちおいしいスープ』マーシャ・ブラウン 文・絵 こみやゆう 訳(岩波書店)2010年4月21日

 「石のスープ」の名で広く欧州に伝わる昔話の絵本です。

 腹ぺこの3人の兵隊は村人たちに宿と食べ物を恵んでもらおうとしますが、うまくいきません。そこで、兵隊たちは石でスープを作ることにしました。すると、村人たちは。

 村人たちのウソを責めるでもなく、知恵を働かせて望みのものを手に入れる兵隊と、だまされたことにも気づかず宴会をし、温かいベッドまで提供する村人たち。いずれも、苦しい暮らしの中で、したたかにおおらかに生きる庶民の力強さを感じます。だまし、だまされるストーリーにもかかわらず、読後はさわやか。満足感のある絵本です。

 ところで、どうやって石でスープを作るのでしょう?それは読んでのお楽しみ。
(5、6歳くらい~)

せかいいちおいしいスープの画像

 

 

3月号

 暖かい日寒い日を繰り返しながら、一歩一歩春が近づいてきました。

 今月は一足早く、桜の絵本を紹介します。絵本の中でたっぷりお花見を楽しんでくださいね。

 

 

1 さくら』長谷川摂子 文 矢間芳子 絵・構成(福音館書店)2010年2月10日

 ソメイヨシノの一年を描いた科学絵本です。

 日本人はどうしてこんなに桜が好きなのでしょう?そして、ほとんどの日本人が思い描く桜はソメイヨシノです。この本の魅力はなんと言っても写実的で美しいソメイヨシノの絵! 気品高く豪華に見開きいっぱいに描かれた花々はそれは見事です。また、文章もソメイヨシノ自身が「わたしはさくら」と語りかけるので、科学絵本でありながら柔らかな印象を受けます。読後はきっと、桜の開花を指折り数えることでしょう。
(5、6歳くらい~)

さくらの画像

 

 

2 『おさびし山のさくらの木』宮内婦貴子 文 いせひでこ 絵(BL出版)2015年3月11日

 生命はめぐり、ふたつの生命はまた出会うでしょうか。むかし出会ったことを覚えているでしょうか。

 おさびし山のさくらの木と旅人との出会いと別れ、そして年を経た再会を幻想的な絵とともに描いた絵本です。日本人のさくらへの思い、死生観、美しい日本の四季をこの一冊にぎゅっと詰め込んであります。いせひでこの絵は〈光〉の用い方が印象的で、哲学的、観念的な世界をよく表現して秀逸です。

 あすなろ書房からも奥田瑛二の絵で1987年に出版されています。お好きな方は読み比べてはいかがでしょう。
(中学生くらい~)

おさびし山のさくらの木の画像