熱く語る湯浅さん
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■格差と貧困
講演会の冒頭、英国のEU離脱の激震は日本も無縁では居られない。との言葉から始まりました。講演会のちょうど前日、英国がEUから離脱する決断をしたNEWSが飛び交い、この日も金融市場が大混乱していました。
■日本の貧困率は?
今や、日本も格差が広がっていることは誰もが感じているのではないでしょうか?
湯浅氏は、「特に中間層がじわじわと余裕がなくなってきている」と指摘しています。
3年毎(2006, 2009, 2012年)の統計データによれば、
全国平均の貧困率は、 15.7、 16.0、 16.1。
子供(0~17歳)の貧困率は、 14.2、 15.7、 16.3。
日本の貧困率は約1/6(6人に1人)さらに、「こどもの貧困率」が右肩あがりで
高まって来ている。先進国のなかでも唯一の国であり、楽観視できません。
こどもの貧困率が高いのは、つまりは働き盛りの30代~40代の所得が低くなってきているのだと考えられます。日本社会に未来はあるのでしょうか?
かつては、一家の大黒柱の男性が正社員で一人で家族分の収入を得、福利厚生も手厚く妻や学生が働いても、お小遣い程度の給料で成り立っていた時代が長くありました。最近は、家族構成が変わり、同一労働同一賃金が言われているにも関わらず、いわゆるワーキングプア、働いているのに貧困状態に陥っているケースが増えています。
日本の特徴は非正規の大部分が学生アルバイトやパートだという状況であること、
いまだに女性は非正規で当たり前と考えられていること、最低賃金で暮らさなければならない若い人たちが増えていること、等です。
現状では、一つの歯車が狂いだすとセーフティネットの網に引っ掛からず一気に底まで滑り落ちてしまうことが少なくありません。氏はそうならない階段作りが重要だと力説されていました。前向きに生きるために、私たちに何ができるのでしょうか。
■私たちに出来ることは?
最近、近所の子供たちと食事を一緒に作って一緒に食べる 「子ども食堂」のボランティアが各地で立ち上がっています。このような活動が、一つの階段の良い事例として紹介されていました。
さらに、氏の言葉を借りれば、「自分が正しいと思うことを、最も意見の遠い人に語りかけよ」とのことです。湯浅氏ご自身は、6000万人目ぐらいの人に届く言葉で話すように心がけているそうです。「少数派こそ外交力を身につけましょう」との言葉が、氏の実践力を物語っているように感じられました。
氏から大きな勇気を与えられた受講者も多かったのではないでしょうか。
※質疑応答も活発に行われ、また氏の書籍やパープルリボンの販売も盛況で、サイン会は長蛇の列でした。
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