ミラクルフルーツ「生命の不思議@」  感覚の世界 〜アホ味・バカ味 (味覚)〜ミラクルフルーツ

講師の高木 雅行氏です。

 平成23年11月29日(火)10時〜12時、4階イベントホールにおいて河内長野市・河内長野市教育委員会主催で開催されました。
 なお本講座は、くろまろ塾認定講座として開催され、「生命の不思議@」 〜感覚の世界〜 4回シリーズの第1回「アホ味・バカ味(味覚)」を取材しました。その一部をご紹介します。

  

講  師:

元大阪大学   高木 雅行 氏

   
    
アホ・バカ分布図

言葉・食べ物・気質の東と西の違い

言葉の「アホ/バカ」、食べ物の「タコ/ホヤ」「うどん/そば」、気質の「笑/まじめ」の地域性が残っており、前者は西、後者は東に分布しています。その境界線は三重県の四日市−関ヶ原−伊吹山地−敦賀のラインであります。

教科書が間違っている!

味には甘い、塩辛い、酸っぱい、苦いの4基本味があるとされているが、それに昆布ダシ・カツオ節ダシのうま味の第5原味を加えた5つの基本味が科学的に確立されています。
 舌の先は塩辛い、両側面は酸っぱい、中央が甘味、奥が苦味と舌の場所によって味を感じる感覚が異なるとされています。これには学問的な根拠がありません。
 基本味や舌の味覚分布は通説であるので、科学的な事実との整合性を取るために教科書を改訂しようとしても社会的混乱が生じるので、訂正できないのが現状であります。

アルコールと酢は毒!

 
講座の模様です。

5基本味の1つである甘味は動物にとってエネルギー源であり、これは澱粉、糖(炭水化物)です。 澱粉は糖→アルコール→酢 へと発酵が進みます。
 澱粉・糖とアルコール・酢の性質を知るためにバクテリアなどの単細胞生物で実験をすると、澱粉・糖は飛びついてきます(正の走化性と言います)。しかしアルコールや酢は逃げていきます(負の走化性)。これはアルコールや酢が生物にとって基本的に毒と見なされます。
 しかしヒトは酢ダコをたべ酒を飲みます。これはアルコールや酢を分解する酵素を持っているためです。 果物や芋などの表面で発酵が進んでも内部はエネルギー源である澱粉や糖がまだたくさん残っています。アルコールや酢があると他の生物が食べないので、ヒトは独占して摂取することにより生き延びて繁栄しました。この過程で分解酵素を獲得したものと考えられています。いわゆる生存・繁殖が進化いえます。ヒメコンドルやハイエナも同じ事情です。

甘い砂糖はない

舌には1〜2mmぐらいの大きさの乳頭というつぶつぶが多数に並んでいます。この乳頭の中に幾つかの味覚芽(味蕾)があります。この味覚芽に味物質を感受する味細胞群が集まったものがあります。この味細胞群は5基本味のそれぞれに特異的に反応する味細胞群に分かれています。そして、それぞれの味細胞群は神経繊維で大脳の味覚野の各味を知覚する専用の神経細胞に繋がっています。
グルコースの分子構造です。 例えば、舌の甘味細胞が砂糖を感受し興奮して、大脳味覚野の甘味を知覚する専用の神経細胞へ電気信号を送ると、人は甘いと感じる。砂糖には甘いという情報がはじめから備わっていない。また舌の甘味感受細胞群が興奮して発生した電気信号にも甘いとう情報がありません。この電気信号が大脳の味覚野の甘味知覚神経細胞に達した結果、甘味を知ることになります。従って、甘い砂糖でなく、砂糖が甘いと言うことになります。
 仏典の般若心経の「色即是空」に通じます。 砂糖の元であるグルコースの分子構造は炭素苦味のイソドナールと無味のトリコドンの分子構造です。、酸素、水素が結合したもので、このグルコースが2つくっついたものが砂糖です。この分子構造には甘い性質が見られません。 苦味分子のイソドナールと味のないトリコドンの分子は全く同じ原子構成であるが、11番目の炭素にくっついている水素と水酸化基の結合方向が逆転しているだけで、一方は大変苦く、他方は無味です。

味覚変革物質をもつ不思議なミラクルフルーツ

1m半ぐらいで、2cmほどの実をつけるアフリカ産のミラクルフルーツという灌木があります。土地の人々は、パーティの前にこの実を嚼んで2〜3分口に含んだ後、口から出します。そうすると5〜6時間、酸っぱい椰子酒が甘いワインに感じられます。
 これはミラクルフルーツの成分で、舌の甘味感受細胞の表面が酢に反応するように変えられるから甘いと感じる。この味覚変革物質は191個のアミノ酸が結合した小さなタンパク質であることを栗原良枝先生が発見しました。

おいしいは進化する!

稲の実、米はおいしいので日本人を使って水田を用意させ、水や肥料を撒かせ、栄養を吸い取る雑草を取り除かせ、害虫が来ないように薬を撒かせて沢山の米を稔らせる。多くの子孫を残せ大繁殖します。
 このようにいま人間が地球を支配しているので、人の心においしいな、かわいいなと思わせることで大繁殖をしている生き物が多いことに気付きます。繁殖をすることを進化といい、人においしいな、かわいいなと思わせることが大きな進化力となります。果物、犬、猫などのペット等々しかりです。
 人もおいしいと感じてもらえるような人になることで、上手くやっていける。
 「アホ、バカとバカにされても、ヒトよヒト、人においしい人になりませ」

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