講師の岡本 茂氏です。

平成23年11月11日(金)10時〜12時、4階イベントホールにおいて河内長野市・河内長野市教育委員会主催で開催されました。
  なお本講座は、くろまろ塾認定講座として開催され、「まちづくり市民講座 地域で安心して暮らすために」 〜東日本大震災から何を学ぶのか?〜 2回シリーズの第2回「災害のメカニズム・地域の防災」を取材しました。その一部をご紹介します。

講師:

(株)ランドシステム 代表取締役   岡本 茂 氏

東日本大震災は我々に何を語っているのか

講演の模様

津波調査(宮城県を主にした)から読み取れたこと。

1.津波の高は、地形の違いまた沖と海岸、内陸
  部で違っていた。

平野型津波の被害は、内陸5km位まで及んでいた。津波は広く浅く平坦で襲い、住宅の1階部分で被害を受けているのが多い。
  リアス式海岸は、湾の奥が狭くなっているので津波が盛り上がって想像できない高さまでになり被害が大きかった。
外洋に面した氾濫平野は津波の直撃を受けて被害が大きかった。
 日本三景の松島は、多くの島が自然の防波堤となって、被害が軽微であった。
 氾濫原より少し高い比高地は自然堤防となって被害が軽微であった。

2.なぜ15000人を超える多くの犠牲者が出たのか。
  
  
1)津波警報の出し方に原因があったのでは。

津波警報の精度に課題があった。岩手県の例では、地震の3分後に3m、25分後に6m、45分後に 10m以上へと津波警報が更新された。最初の警報が出た後で停電が生じて、更新情報が地域住民に伝わらなかった。→複数の情報手段を持つことが大切です。

2)事前配布のハザードマップが避難行動を妨げたのでは。  

被害者の実態調査から、ハザードマップの津波想定区域外に居住の人が3人中2人の犠牲者が出た。想定区域外の人々の避難行動を妨げた可能性があります。ハザードマップは作成に際して必ず前提条件があります。この前提条件が記載されていなかった。

  
3. 震災以後の住まいに対する意識変化

意識調査結果から、安全安心に意識が非常に高まった人が45%、やや高まった人を合わせると90%になります。命の安全性を最初に考えてから住みかを選ぶへと意識が変わってきた。
  地震で起こる長周期振動が高層ビルで揺れが大きくなるため、首都圏では30階以上の新築高層マンションの4月発売戸数が減少しています。

キャラクター・くりまろ

人・土地や街の環境を知る

災害の原因に素因と誘因の2種類があります。
◆素因:災害を発生しやすいその土地に備わっている自然環境。活断層、軟弱な地盤、急斜面地、川が沢山集まっている地形、災害危険箇所や災害履歴、湿った空気が山にぶつかって雨が降りやすい気象環境など。
◆誘因:災害を大きくする社規環境。人口密度、人口構成(高齢化、乳幼児)、土地利用、狭隘道路などの道路状況、避難所までの距離や経路、防災力・減災力など。

キャラクター・くりまろ

自主防災活動で防災力を高める(自助・共助)

防災力・減災力の向上の第1歩は、災害の特徴、人と街の特徴を理解して自主防災力の向上をめざします。
 基本的に防災は、自分の命は自分で守る、自分で安全な土地に住むように心がけます。そして共助で防災力を高めます。今ある街を急に作り替えることが出来ないので、現状の中でみんなの生命財産を安全に守るにはどう言う方策があるのか、家族だけでなく、地域ぐるみ、学区単位で考え、行政とも話し合って防災力を高めていきます。
 自主防災活動が防災力を高める秘訣です。地域で町会地図を元に危険な場所、避難経路などの実地見聞を繰り返し行い街のことを良く知る。街に愛着が湧き、街を大切に守っていく取組に繋がっていく。普段から住民同士のコミュニーケーションを取り合うことで、みんなで力を合わせ、助け合う,支え合う、避難し合う、カバーし合います。
 自主防災はいろいろな団体(連合町会、社会福祉協議会、民生委員協議会、企業・事業所マンション管理組合、NPOなど)と話し合って取り組むことが必要ではなかろうか。自助や共助を基本にしながら公助の支援を受けて減災に努めます。 防災は一長一短に出来ません。普段からの地道な、地域を知ることからスタートして、自分たちの体力にあった、地域の特性にあった防災が必要です。
 また自分の経験から災害の規模を判断しないで、安全な経路で早めの避難をすることで減災に努めることが大切です。

キャラクター・くりまろ

河内長野市の地域特性

河内長野市の防災上の課題地図

◆密集した市街地が自然発生した地域に見られます。
◆地形は南に高い山があり、北に向かって低くなっています。
◆水系は石川、石見川、加賀田川、西條川、西除川が手掌の中央のように河内長野市街地に集まっています。金剛山や岩湧山の山奥に豪雨が降ると水が一気に下流に達する恐れがあります。
◆分かっている活断層が幾つかと、近辺には上町断層、中央構造線があります。南海トラフ、中央構造線で起こる地震の揺れが大きい。中央構造線や上町断層による地震では震度6クラスの揺れが予測されてい ます。
◆郊外の丘陵地に市街地が多く作られています。
◆市の人口で65歳以上の高齢者が22.6%、中集落の山間地だけでなく新しい市街地にも高齢者率が 30%を超える高い地域が多く見られます。
◆道路網で車が行き違いが出来ない細い道や袋小路が自然発生した地域に多く見られます。   
◆土石流や山崩れなどが起こった災害履歴、土砂災害危険区域が多くあります。特に山地と市街地が接して いる所。
◆500mを超える遠距離の1次避難所が多くあります。また広域避難所までの距離が5Kmを超える地域 が多く、2次避難が生じた際の避難先は明示されていません。

【防災上の課題】

地形では急斜面地、地質では活断層が想定されるエリア、河川の合流点などの水に浸かりやすいエリア、 過密な市街地、狭隘な道路が多いエリア、土砂災害の危険なエリア、地震の揺れが震度6強のエリア、 遠距離避難エリアなどを色分けして重ねて表示した地図を見ると、色がたくさん集まっている所ほど課題が多 い地域です。重なりが多い地域では、みんなで力を合わせて防災力を高めていく必要があります。

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