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教養講座 関節リウマチのトータルマネジメントについて

印刷ページ表示 更新日:2019年6月5日更新
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「関節リウマチのトータルマネジメントケアについて」受講しました!
くろまろ塾運営ボランティア スタッフ2019年06月15日 17時00分 |くろまろ塾くろまろ塾運営ボランティア
開催日時:令和元年6月5日14時00分~15時30分 (キックス・イベントホールにて)

ご無沙汰です。くろまろ塾運営ボランティアの村上です。
新元号「令和」の時代になり、何となく心が弾んでいます。同時に「平成の時代は戦争がなく、安堵しました」との先の天皇のお言葉に感慨深いものを感じたりもしています。

今回は「関節リウマチのトータルマネージメントケアについて」を受講しました。講師は大阪南医療センターの吉田 祐志 先生です。

吉田先生は大阪大学医学部博士課程(医学博士)を終了後、大阪大学大学院(医学系研究科)、アメリカのWeill-Cornell University、Rockefeller University、大阪急性期総合医療センター等での研究を経て、平成30年4月より、大阪南医療センターリウマチ膠原病アレルギー科医師として勤務されています。

題字吉田 祐志 先生

 

「関節リウマチ」は、よく耳にする病気です。講座ではかなりきめ細かく話して頂きましたが、このブログではそのエッセンスのいくつかをご紹介できればと思います。

さて、「関節リウマチ」は原因が今なお不明な病気であります。免疫の異常により複数の関節に炎症が起こり、さらに進行すると軟骨/骨をおかし、関節破壊、変形が起こってきます。男性より女性に多発するのも特徴です。しかも、働き盛りの年代層に発症し易い病気であります。

〇発病男女比率 1時3分~5  〇好発年齢 30~50歳

「関節リウマチ」の発症は、環境因子、遺伝因子の影響を受け、関節の炎症、免疫の異常を引き起こします。そして、関節炎、さらにその他の合併症に繋がります。

関節リウマチの発症

「関節リウマチ」を発症すると、骨の破壊が起こります。なお、炎症は関節を覆う骨膜で起こります。そして、関節破壊は図のように進行します。

関節の構造関節リウマチにおける関節破壊の進行

それでは、「関節リウマチ」の診療科は・・・? 図にも示す通り、リウマチ科、整形外科、内科等、総合的な診療が望まれます。病院側の体制として、大阪南医療センターの「関節リウマチにおけるチーム医療」も参考願います。

どこでみてもらうか関節リウマチにおけるチーム医療

「関節リウマチ医療」には、下記のようなことが配慮されています。

(1)関節破壊の進行を抑制、日常の生活機能を維持し、同時に感染症、合併症にも対応する。

(2)リウマチ医療は患者と先生がともに決めるべきである。

(3)最も重要なことは、長期にわたる治療の間も生活の質を良好に保つ。

(4)治療ゴールの達成に最も重要なことは、関節の炎症をとめること。

 

簡単に言うと下表のようなことになります。

簡単に言うと

「関節リウマチ」の治療には、薬剤療法、手術療法、ペインコントロール、合併症対策などあります。

最も汎用な治療である「薬剤治療」をちょっと詳しくご紹介します。
「関節リウマチ」の治療薬には「Jak阻害薬」、「生物学的製剤」、「ステロイド」、「Mtx」があります。

治療薬

それぞれの薬剤の特徴は・・・・・!

「Mtx:メトトレキサート」は

1.よく効く、長く続けられる
2.寿命を延ばすと証明されている:基本治療薬である

3.週1~2日:医師が指示した日だけ飲む

4.週2~4錠で開始。最大週8錠まで(個人差があるので採血結果を見て増量)

5.開始前:結核暴露歴の検査・胸のレントゲン・肝炎ウイルス検査などが必要

 

「ステロイド薬」は
良い点 悪い点 注意点

・炎症を抑え、腫れや痛みをとる

・速効性で効果が強い

・妊娠中も使用可能

・.腎臓、肝臓の負担少

・感染症のリスクが高

・骨粗鬆症になりやすい

・糖尿病になりやすい

・関節破壊の防止効果が乏しい

・自己調節しない。勝手に中止しない

・医師の指示通り計画的に減呈する

・ステロイドは炎症を抑える

・補助の薬として初期に抗リウマチ薬と併用して最小限で使用すること

 

 

「生物学的製剤」は

1.生体内の悪い物質だけに効くように設計されている。
且つ、生体内に存在するような形で作った薬(タンパク質製剤)

2.いずれの生物的製剤も非常によく効く。

50~90%の人に有効

15~50%の人に寛解

3.しかし、高い!!

 

「生物学的製剤:Jak阻害薬の光と影」とは

<Jakという酵素を阻害し、免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑えることで関節リウマチの症状を改善する薬>
・優れた臨床結果が得られている

→疼痛/骨破壊の抑制 Adlの維持/改善

・しかしながら、薬価は高い!!

・感染症に注意が必要! → しかし、一番の感染リスクはステロイド!

・原因治療ではない → 長期の使用が必要 → 近年は減量の研究が進んでいる!

副作用対策
薬の副作用

 

まとめ
薬の効能比較

「関節リウマチ」の薬物以外の治療
・患者の病気の理解(教育・学習)
・リハビリ
運動で骨は新陳代謝する(古い骨を吸収、新しい骨に置換)
使わないと筋力も低下
活動性が高い時:安静中心で機能を保つ程度のリハビリを行う
活動性が低下したら、徐々にリハビリを増やしていく
リウマチ体操:インターネットで動画が見られる

・手術
人工関節置換術(ひざ・股関節・ひじが主)
関節固定術(首・手首・足首が主)
関節形成術(外反母趾・うち指など)

リウマチ治療の目標
QOL(Quality of Life)の向上
→ ・疼痛緩和 ・関節破壊の抑止 ・生命予後の改善

この後、講座は妊娠中の影響、平均寿命と健康寿命など多方面に続きましたが、本ブログではここまでとさせて頂きました。

ちょっと意外な事でしたが、「関節リウマチ」は原因も分からず、完治もしない病気です。それだけに、早期発見、継続して治療に努めることが大切であると学びました。

最後にちょっと意外なお話しをもう一つ;
あの有名なルノワール、ノーベル、アガサクリスティ(英国の推理小説作家)も
関節リウマチを病んでいたとか・・・。それでも、立派な人生を送りました。

関節リウマチだったといわれている有名人


吉田先生、色々と多方面からの講座、ありがとうございました。

 

司会、受付を担当して頂いたくろまろ塾運営ボランティアの皆さん、お疲れさまでした。

司会受付