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大学連携講座-高野山大学編-を受講しました!
大学連携講座-高野山大学編-を受講しました!
みなさん、こんにちは!
くろまろ塾運営ボランティアの西岡です。令和2年最初のくろまろ塾本部講座を受講しましたので、レポートさせて頂きます。内容は、“大学連携講座-高野山大学編-空海「秋日観神泉苑」について”です。
講師の南 昌宏先生は、高野山大学密教学科の教授で、文学・哲学・中国哲学の専門家です。本講座は、1月10日(金曜日)と1月12日(日曜日)の2回に分けて開催されました。まず「秋日観神泉苑」とは何でしょうか?名文家として有名な空海の残したこの詩は、詩文集である『性霊集』の二番目に掲載されている漢詩の七言古詩で、十二句八十四文字で書かれています。
1月10日の講座では「秋日観神泉苑」を読むと題して、従来の読み下しと、天皇と空海が親しく交流があったことなど、この詩は天皇の御苑をことほぐ(言葉で祝福する)詩として紹介されました。つまり秋の日の天皇の庭園の様子が自然と調和して素晴らしい佇まいをみせていることなどを、褒めたたえた詩との従来からの説明です。
ちなみに、神泉苑は現在京都二条城南にありますが、元は平安京(大内裏)の南東隣りに位置し、八町の規模を有する苑池であり、禁苑(天皇のための庭園)でした。苑内には、大池、泉、小川、小山、森林などの自然を取り込んだ大規模な庭園の他、敷地の北部に乾臨閣などを伴う宏壮な宮殿が営まれていたようです。また、空海が善女龍王をこの神泉苑の池に勧請(呼び寄せ)して雨を降らせたことでも有名です。
1月12日(日曜日)の講座では、前回解説頂いた詩の意味を裏読みし、空海が真に表現した意味を説明して頂きました。この説は、2019年に南先生が1200年ぶりの新解釈として昨年発表されたもので、これまで神泉苑をことほぐ詩とされていた詩が実は、諫言(目上の人の非をいさめる)のための詩だと云うのです。先生は12句の詩を一句一句丁寧に、空海が選んだ漢文の決まり文句ともいえるフレーズをそれぞれ中国の古典や歴史書である『書経』や『後漢書』『詩経』などと照らし合わせ、詩全体にただよう諫言の意をくみとる解説をしてくださいました。私のつたない理解では、もし当時の中国の教養人がこの詩をよめば諫言の詩だとすぐさま見破るのであろうということです。つまり空海はそれほど、漢文の書物に精通しており、漢文も和文も名文家であったのだと感じました。
長い年月、神泉苑を褒めたたえていると云われて来たこの詩ですが、実は天皇をいさめる詩だったとの新解釈がなされました。このことを日本史のなかでどう捉えるのかはさらに掘り下げる必要がありそうです。漢文の知識が現代人よりもあった頃の時代の教養人であれば、そのことに気付いていたかもしれませんね。久しぶりに漢詩に触れ、とても新鮮な体験をさせて頂きました、南先生、丁寧な解説有難うございました。
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最後に、今回もくろまろ塾運営ボランティアの仲間が、受付・資料配布・司会に活躍してくれました。お疲れさまでした!